【読書メモ】自分の小さな「箱」から脱出する方法
- 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本の実践編については以前まとめているが、今回は改めて本編をおさらいしてまとめてみた。大筋は前回まとめているので今回はいくつかの重要なキーワードとビジネス面への影響についての解説箇所をピックアップしたい。
自己欺瞞
本書で表現している「箱」に入るとは、自己欺瞞のことである。自己欺瞞の意味は以下の通り。
自分で自分の心をあざむくこと。 自分の良心や本心に反しているのを知りながら、それを自分に対して無理に正当化すること。 自欺(じき)。
自己欺瞞に陥るとそれ以前に持っていた目的に集中できなくなり、やがて自己正当化のために他人を攻撃したり当初の目的とは違う行動を起こしてしまう。
自己正当化
- 他人の欠点を大ゲサにあげつらう。
- 自分の長所を過大に評価する。
- 自己欺瞞を正当化する。ものの価値を過大に評価する
- 相手に非があると考える。
自己欺瞞に陥ると相手に非があると考え始める。相手を非難するためには相手に非がなければならないため、相手の欠点ばかりに目を向けるようになる。また、自分を正当化するためには自分には非がないことを示さなければならないため、自分の長所を過大評価してしまう。
自分への裏切り
- 自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を自分への裏切りと呼ぶ。
- いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。
- 周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる。
- したがって、人は自分の感情に背いたときに、箱に入る。
- ときが経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格と見なすようになり、それを持ち歩くようになる。
- 自分が箱の中にいることによって、他の人たちをも箱の中に入れてしまう。
- 箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに箱の中にいる口実を与えあう。
本心に反して自己正当化する時、自分への裏切りが起こり、自己欺瞞に陥る。自分への裏切りが起きた時から人は箱に入るのである。他人のためにすべきと考えながら、自分への裏切りによってそれをしなくなる。
ビジネスリーダーが箱に入るとどうなるか
- 業績に集中できなくなる
- 周りの人を箱に入れてしまう
- 業績を上げるために最善を尽くそうと考えながらその反対の行動をしてしまう
p. 244
より引用
多くの人は最初に仕事に取り組もうとしていた時には会社の業績を上げるために最善を尽くそうと考えている。しかし、例えば仕事で自分は一生懸命やったのに上司や周りに認められなかったと思って自己欺瞞に陥ってしまうと、自己正当化のために同僚に対して攻撃的になったり怠け者だと卑下してしまう。一方で自分に対しては充分よくやっている勤勉な人間なので間違っている事など無いと考えてさらに深い箱に閉じこもってしまう。このような本来の目的に反する結果は全て自分への裏切りによって自己欺瞞に陥った時に始まるのである。
会社において影響力のあるリーダーが箱に入ってしまうと、その影響は周囲の社員にも及び、会社の業績に致命的な原因になりかねないのである。では箱に入らないためにはどうしたら良いのか?それについての明確な答えはない。いくつかのヒントは実践編のほうに書いてあるので参考にすると良さそう。