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レディオキャットハテナ

大晦日だよWeb系エンジニア〜2017年技術トピックスふりかえりスペシャル

2017年もいよいよ大詰めとなりました。今年触れた技術について各分野ごとに来年に向けてまとめておきたいと思います。

注意点としては各技術の動向を考察するというよりは、Web系エンジニアの視点で各技術をどう扱うかに視点を置いてみた。その観点はあくまで以下のような私個人の2017年の活動がネタ元であることはご容赦ください。


AI

まずはここから書き始めるしかないというくらい、猫も杓子もAIの状況が続いているが、今年1年でずいぶんライブラリやAPIが整備されてきた印象がある。これまでは専門家がデータを分析し試行錯誤してゼロベースでAIの仕組みを構築することが多かったが、今後は専門家以外でもこれらのライブラリやAPIを駆使してAI系機能を実現するケースが増えてくると思われる。エンタープライズ系に強いJavaDeep LearningライブラリであるDL4Jも2018年中にv1.0がリリースされると思われる。Deep Learingの専門ではない従来のエンジニアがこのようなライブラリを手軽に扱えるようになれば、技術は今以上に浸透していくと思われる

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もちろん肝となるのはデータの収集・整備であったり、ゼロベースではないにしてもライブラリやAPIから適切なアルゴリズムを選定して仕組みを構築する部分にもあるため知識ゼロでAIが扱えるということは無いだろう。しかし、これまでも我々は例えばソートアルゴリズムをゼロベースで実装しなくてもソートを扱ってサービスを構築してきた。ときには内部アルゴリズムに目を向けることもあるが多くの場合は深く意識せずソートアルゴリズムを扱えるように、そろそろDeep Learningを深く学習せずとも扱うようになるステージを迎えるのではないかと感じている。もちろん、専門領域では引き続き様々な研究が続くと思われるため、ある程度の知識を持って専門分野を追いかけつつ、構築済みのライブラリやAPIの仕組みの中でアルゴリズムを活用してサービスに応用するようになるのではないだろうか。

モバイルアプリ

AndroidではKotloinが正式にサポートされることになり、Swiftも4にバージョンアップするなど着実に進歩を続けている分野ではあるが今後に向けての一番大きな動向はPWAではないかと感じている。Google I/OChrome Dev Summitでもその力の入れようが感じられる。

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年末にはSafariとEdgeの開発版にもServiceWorkerがサポートされ、いよいよ2018年はPWAの導入が本格化するかもしれない。

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フロントエンドの各ライブラリもPWAに追従するためのサンプルコードを公開しており、モバイルアプリエンジニアだけでなくフロントエンドエンジニアからの注目度も高い。

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フロントエンド

PWA以外にもWeb Compornents、AMP、WASMなど話題には事欠かないのがこの領域だ。

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カウボーイ状態はまだしばらく続きそうで、乗りこなすのは大変だと感じる。

AMPについてはGoogleの検索アルゴリズムが関係してくるため技術云々ではなく追従せざるを得ない面はある。

GoogleがAMPの規格をアップデートしてSEOねらいの‘釣りページ’を退治する | TechCrunch Japan

スマートスピーカー

2017年は間違いなく日本におけるスマートスピーカー元年と言えるだろう。個人的には運良くAmazon Echoの招待メールがもらえて、Google Homeと両方を比較して試すことができた。

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肝となる音声認識の部分は各プラットフォームで提供されるため、これを扱うエンジニアとしてはそれほど新しい技術を使うわけではない。ただ、Web系エンジニア的にはプラットフォームとしてはスマホに次ぐ新たなサービスの入り口として無視できない状況になる可能性はある。音声を受けた後のバックエンドは既存のWebサービスに繋げて扱うこともできるため、音声応答を意識したサービスの構築やアプリ設計の観点が必要になってくるかもしれない。

一方でAmazon AlexaにしろGoogle Assisntantにしろ、まだまだこれらのプラットフォームは発展途上で技術情報も整備されておらず扱いにくい面もあった。

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Dialogflowに至ってはGoogle Homeが日本で発売開始された直後にAPI.AIから名称変更するほどの途上っぷりだった。

ただ、前述の通り技術的には新しく習得する要素がそれほど多くないため手軽さはあり、未成熟なプラットフォームにおいてアイデア次第で色々試せる面白さはモバイルアプリの黎明期に似ている状況でもある。そういう意味では2018年はまだまだ盛り上がっていく期待がある。

セキュリティ

Web系エンジニアにとっての最大の話題といえばStruts脆弱性と言って良いだろう。ニュースでも取り上げられて大きな話題となった。Web系に限らずソフトウェアエンジニアがここ十年ほどで当たり前のように使うようになったOSSとの関わり方について、今一度考え直す良い機会になったのではないだろうか。

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個人的にも時々セキュリティ系の勉強会に参加しているが、参加者多数で定員オーバーになっていることも多く、この1年でその関心が非常に高くなってきていると感じている。

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近年ではIoT関連のセキュリティリスクが高まってきており、前述のスマートスピーカーの普及もあって今後もスマートホームなどでIoT関連の製品の普及が加速するとも考えられるため、引き続きこの傾向は続くと思われる。

www.ipa.go.jp

スマートスピーカーのプラットフォームのようにWeb系エンジニアがそこに関わるケースも増えそうなので対岸の火事では済まされない可能性もある。

インフラ

KubernetesやRancherなどが今年最も強い印象を残してオーケストレーションという言葉がバズワード的に浸透し始めた。

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この界隈は2018年も引き続き注目の技術となるのではないだろうか。個人的にはこれらの技術にあまり触れられていないため2018年はもう少し注目して追いかけたいと感じている。

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また、少し論点がずれるがインフラを管理しないという点で、サーバレスアーキテクチャも盛り上がりを感じた1年だった。元々その定義が分かりにくい領域ではあるが、Webサービスだけではなくモバイルアプリやスマートスピーカー、IoTもカバーする分野なので今後も注目されていくと思われる。ただ、個人的にはサーバレスというのはプログラマコンパイラアセンブリを意識しなくても開発できるのと同じようにインフラを意識しなくても開発できる手段の1つでしかないとも感じており、最終的にはサーバレスという枠組み自体が次第に無くなっていくのではないかとも思っている。

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アジャイル

キーワード自体は2016年からあったものだが、Agile Japan 2017の基調講演で発信されたModern Agileが注目を集めた。

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言葉自体はややバズワード的ではあるが、この1年のアジャイル界隈から発信された、Manegement 3.0、心理的安全性、モブプロなどの要素を見る限りその概念は本質を捉えているようにも思える。個人的にはモチベーションの可視化手段としてムービングモチベーターズがチーム内に定着できた点でも収穫があった。

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おわりに

以上、独断と偏見で2017年をまとめてみた。最後に2018年に向けて何か書こうかと考えていたけど長くなったので来年のことは来年書くことにして今年は終わりたいと思います。それではみなさま良いお年を。