【勉強会メモ】令和最初の!スクラム道関西 オープン・ジャム
- 日時:2019/05/07(火) 19:00 〜 21:00
- 場所:TAM COWORKING OSAKA
令和最初の勉強会メモです。
スクラムの良さをチーム・会社に知ってもらうには?
- そもそもどうやってスクラムを始めたか?
- 部門横断的な役割による開発支援
- 改善プロジェクトなどのサイドプロジェクトからのスモールスタート
- もともとスクラムのプロジェクトへの参画
- ビジネスサイドが知りたいこと
- 何のためにスクラムを始めるか
- 会社の利益に貢献できるか
- チームが知りたいこと
- 成長できるか
- 主導的な開発ができるか
- プロダクトにコミットできるか
開発プロセスをスクラムに変えるやり方
- 宣言的に変えるよりも試行錯誤した後にスクラムになっている状態が良い
- スクラムの原則にある自己組織化を重視したい
- スクラムのエッセンスの取り入れ方
- 要件をユーザーストーリーに変えてみる
- スプリントの考え方で短い単位の計画
- レビューやふりかえりなどのイベントの導入
スプリントに収まらない大きなユーザーストーリーをどう分けるか
補足:受入条件と完了条件について
※参考
補足:エピックについて
- 大きなユーザーストーリーはエピックと呼ぶ
【読書メモ】マインドフルネス瞑想入門
- 作者: 吉田昌生
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2015/01/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前回読んだ本で、マインドフルネスが仕事のパフォーマンスに与える効果はよくわかりました。
この本はグーグルの事例を中心としたビジネス寄りの本だったので、もう少しビジネスから離れたところでフラットな視点での効果や理論、実践者の具体的な実践例が知りたくてもう一冊マインドフルネスの本を読んでみることにしました。
マインドフルネスの科学的な研究の話から、成り立ちとなった東洋思想の話まで幅広くわかりやすく解説されていてより理解を深めることができました。要点を押さえつつ、約140ページであっという間に読めてしまう手軽さもあって、マインドフルネスを実践するモチベーションを高める意味でもちょうどよい分量です。CDも付属していて実践的な内容が凝縮された書籍です。
マインドフルネスとは
この本では以下のように説明されています。
「今、ここ」に、100%心を向ける在り方
脳科学からみたマインドフルネス
まずは書籍で紹介されている科学的な効果についてピックアップします。
サラ・レイザーの研究
前頭前皮質への血流が増え活性化していき、「自分や他人の思考や感情の動きを対象化して理解する力」が高まっていく
ケリー・マクゴニガルの研究
3時間経験すると、注意力と自制心が向上し、11時間後には「集中力を持続したり、気が散るものを無視したり、衝動を抑制したりするのに重要な領域の神経」について脳に変化が現れたと言われている。
マサチューセッツ総合病院とドイツのギーセン大学の研究者らの研究
16人の被験者がマインドフルネスのストレス解消コースを8週間体験し、その前後に脳のMRIを撮影して瞑想経験のない17人と比較したとのことです。
- 脳内の海馬と呼ばれる部位にある灰白質の容積が密集し、増大した
- 海馬は学習や記憶、感情、思いやり、内省などに関係する
- 扁桃体においては、灰白質の容積が減少
- 扁桃体は不安や恐怖に関連する
- いらいらや不安を抑えられ、感情的な行動が減り、適切な意思決定ができやすくなる
瞑想の基本・実践のコツ
姿勢
- 骨盤を安定させる
- 下腹の腹圧を感じながら、背骨を気持ちよく伸ばす
- 首や肩、上半身の余分な力を抜いていく
呼吸
気持ちのいい呼吸であることが大切
- 鼻先を出入りしている息を観察する
- 呼吸によって変化している身体の感覚を観察する
瞑想を深める5つのポイント
- 今、ここに在る(「過去」や「未来」ではなく「今」に思考を集中する)
- 何もしない(思い通りにコントロールしようとする「doing」モードから、努力せずにただ存在する状態「 being」モードに切り替える)
- ジャッジしない(感じたもの、気付いたことに対して、良い、悪い、と評価や判断をしない)
- 受け入れる(ジャッジせずにありのままを受け入れる)
- 毎日やる(実践して身につける)
アウェアネス=気づく力
「セルフモニタリング能力」や「自覚力」とも言う。「現実をありのまま観察すること」を重視しており、アウェアネスを高めることで自分」と「思考」や「感情」との間に「スペース」が生まれる。
自分の心を客観的に観ることで、「気づく自分」が養われ、無意識的な思考や感情から開放され、ストレスが軽減されていく
ラベリング
浮かんでくる雑念の対処法であり、気付いたことを言語化し、自覚することでありのままを受け入れる方法です。
例)
- 音が気になった⇒音
- 仕事のことを考えた⇒雑念
- 眠くなった⇒眠気
「ラベリング」することで、それが対象化され、手放しやすくなり、また呼吸や身体の感覚に戻ることができます
ストップ
ラベリングしても消えない場合に、心のなかで、「ストップ!」と叫ぶことで、頭の中を空っぽにします。
徹底的に向き合う
思い浮かんでくるのを無理に抑えようとせず、とことん向き合う方法です。瞑想中に湧いてくる雑念、心配事や気がかりなこと、どうしても考えたいことを、徹底的に考えてみる方法です。
さまざまな瞑想
一般的な仏教の瞑想法では、次のサマタ瞑想で集中力を育て、ものごとをあるがままに観察するビパッサナー瞑想へと移っていくとのことです。より実践的な瞑想の事例ではありますが、これらがベースとなって一般的なマインドフルネスの方法が組み立てられていることが理解できます。
サマタ瞑想
- 「止」の瞑想
一つの対象を定めた上で、その対象に集中を高めていく手法で、注意を特定の対象に向けます。呼吸を観察する瞑想もサマタ瞑想のひとつです。
ビパッサナー瞑想
- 「観」の瞑想
対象を定めずに心に感じたことをありのまま観察する手法です。doingモードからbeingモードに切り替えて瞬間瞬間の心の状態、五感で感じられることをマインドフルに観察していきます。
ベースにある東洋思想
マインドフルネスのベースとなっている東洋思想を知っておくことで、湧き出てくる思考との向き合い方もより深まると思います。先人たちの思想によって支えられていることを考えれば数日実践しただけで何かが得られるような期待をもたずにじっくり取り組むことができるかもしれません。
諸行無常
この世のあらゆるものは、つねに変化している。一瞬たりとも、同じ状態にない。移ろいゆくものである
無我の境地
自分という感覚が消えて、悩みや苦しみから開放された状態
本当の自分
- 考えていること、感じていることを、少し引いたところから観察している「意識」
- この純粋な、無色透明な「意識」が生命のエッセンスである
もっとマインドフルに生きるために
最後は心理学的な解説を交えたマインドフルネスの効果について、いくつかピックアップします。マインドフルネスの実践の先に得られるものが少しだけわかったような気がします。
感情を調整する力を高める
前述のアウェアネスが高まると今まで無意識に反応していたことに気づけるようになる。これを心理学では「無意識」の「意識化」と言う。これを習慣化することで自分自身を開放化できる。
「怒り」は例外
「怒り」は二次的な感情と言われているとのこと。怒りの背後には「恐れ」や「不安」などの一次感情がある。
「怒り」の対処法は、その根っこにある自分に生じた一次感情に気付いてあげること
自分の感情に気づき、それを受容します。それから、相手の怒りの根っこにある感情にも気づき、それに共感していく。
思考と感情の裏にある「モノの見方」に気づく
変えることができるのは、「考え方(思考)」です。「考え方」を変えることで、間接的に「感情」を変えることができるのです。
自分と思考を分ける
コップに水が半分入っているところをイメージしたときに頭の中に湧いてくる思考はポジティブなものとネガティブなものがありうる。
- 水が半分しかない
- 水が半分もある
幸不幸は考え方次第であり、自分と思考を切り離すトレーニングを実践しておくことで感情に振り回されず行動することができるようになる。
【読書メモ】グーグルのマインドフルネス革命
グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス(付録:マインドフルネス実践ガイドCD)
- 作者: サンガ編集部
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2015/05/25
- メディア: 単行本
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以前参加したマインドフルネスの勉強会で興味を持ってから、もう少し書籍で知識を整理しておこうと思いこの本を読んでみました。寝る間を惜しんで働けば成果が出せる時代ではなくなっていることは多くの人が認識していることと思います。多くの企業がハイパフォーマンスな個人・組織を生み出すために試行錯誤しており、そのひとつとして脳と心のメンテナンスを行うマインドフルネスが注目され、取り入れられているのだと思います。書籍の中ではマインドフルネスを体験した人の「ハードディスクのデフラグのようだった」というコメントを紹介しています。
そもそもマインドフルネスとは何かについては下記の勉強会レポートを参照。
ネット上からも様々な情報を得ることができると思います。
この書籍ではマインドフルネスの定義について以下のように述べられています。
瞬間、瞬間、今という時間に気づくこと。好奇心や親切な心、思いやりの気持ちに満ちているもの
マインドフルネスの効用
この本では個人にとっての効用と組織やコミュニティーにとっての効用があると述べられています。
個人にとっての効用
外部刺激に対する反応の仕方が変わります。
- 状況に対してすぐに怒ったりせずに意識的に捉え直すことができる
- 思いやりの気持ちが育まれる
組織やコミュニティーにとっての効用
感情的知性(Emotional Intelligence)を持ち、EQの高い組織になることで、以下のような状態になることが期待できるようです。
人間関係のもめごとなどにエネルギーを費やすことが少なくなる(中略)本来の仕事に、多くのパワーを費やすことができるようになります。
マインドフルネスの科学的な研究
脳神経科学の研究が進み、科学的にも効果がわかってきているようです。
自分の行動や自分の幸せを左右するのは「脳」であること、そして、脳には機能的、構造的な変化を起こしていく柔軟性があること、瞑想によってそういった能力が開発できること、さらにその事実を科学が証明している
サラ・レイザー博士の研究では「慈悲・思いやり・共感」の関連が証明されています。
スタンフォード大学のCCAREではマインドフルネスに関する様々な研究が行われています。
仏教と科学
マインドフルネスの元となる瞑想を生み出した仏教はもともと科学と親和性のある宗教だと言われており、ダライ・ラマも科学と強い関係を持っているようです。
グーグルの事例
瞑想を導入した理由
基本的には前述のマインドフルネスの効用に倣って、個人と企業の両方にメリットがあるとして取り入れられたようです。
個人にとってのメリットは「自己を認識する力と自己を制御する力が身につく」ことです。
この二つは、わたしたちが仕事に取り組むときに必要な「意思」と「自分自身に思いやりを持つ気持ち」の整合性をとるために不可欠なものです。自己認識と自己制御の力を持っている人は、そうでない人に比べて、仲間と一体感を持ち、調和の中で働くことができます。
企業にとってのメリットは「慈悲に基づく決断、より大きな利益に基づいた決断」ができる点をあげています。
グーグルでの取り組み
フォーマルな取り組み
SIY(Search Inside Yourself)
インフォーマルな取り組み
ヘッドスペースというアプリを導入して社内の様々な場所でマインドフルネスを実施できる環境があるようです。ヘッドスペースはアンディ・プディコム氏が考案したものです。氏はチベットで仏教僧として修業を積んだ後、還俗してヘッドスペースを立ち上げました。ちなみに、アプリは10日間無料で体験でき、その後は有料で本格的なマインドフルネスのコースを受講することができます。
アンディ氏はTEDも出演してマインドフルネスの効果を語っています。
より実践的なマインドフルネス
より実践的な方法として以下の2つが紹介されています。
ヴィジュアリゼーション
イメージトレーニングのように、視覚的な何かをイメージしながら行う瞑想方法です。書籍では太陽の光が身体に当たるのをイメージしながら行う瞑想方法が紹介されていました。
リフレクション
タフな質問を投げかけて内省する瞑想方法です。下記のような質問を自分に投げかけてそこから湧いてくる感情やそれに対する自分の反応を観察する瞑想方法が紹介されていました。
「そばにいないと一番寂しさを感じる人は誰ですか?もしくは、そばにないと一番寂しさを感じる物はなんですか?」
【読書メモ】動機づける力
【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践 (Harvard Business Review Anthology)
- 作者: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: 単行本
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ハーバード・ビジネス・レビューの論文からモチベーション理論に関するもをの取り上げて一冊にまとめられた書籍です。組織のリーダーはチームが最大のパフォーマンスを発揮できるように様々な知識を得る努力をすべきだと思っており、この本はそのための教科書的な内容です。後半はマネジメントから経営寄りのテーマにまで踏み込んでいますが、そのぶん長く手元に置いておける内容とも言えます。
書籍にまとめられている論文のテーマは既に一般的に広まっているものも多いので、元となったハーバード・ビジネス・レビューの論文と合わせてネット上の参考情報などをまとめておきます。
モチベーションとは何か
ハーズバークの二要因理論に関する論文です。仕事における満足度はある特定の要因によって満足/不満足が決まるのではなく、満足に関する要因と不満足に関する要因が別々に関係しているという理論です。満足に関する要因が「動機づけ要因」で、不満足に関する要因が「衛生要因」です。組織のリーダーはモチベーションを成り立たせるこの2つの要因を理解し、うまくマネジメントすることが求められます。
新しい動機づけ理論
我々の行動の基盤となる4つの欲動が存在し、それぞれの欲動に対する組織上の対策方法があります。
- 獲得への欲動⇒報奨制度
- 絆への欲動⇒企業文化
- 理解への欲動⇒職務設計
- 防御への欲動⇒業務管理と資源配分プロセス
また、4つの欲動を上げるカギを握るのは直属の上司であり、上司の能力が4つの欲動を満たす組織能力と同等に重要と評価されています。
知的労働者のモチベーション心理学
インナー・ワーク・ライフ(個人的職務体験)とは知的労働者が内面に持つもので、3つの相互作用がパフォーマンスに影響を及ぼすとされています。
- 感情
- 認識
- モチベーション
インナー・ワーク・ライフに最も影響する上司の行動として重要なものは次の2つです。
- 仕事を進捗させる
- 人間として尊重する
組織のリーダーにはこれらを意識したマネジメントが求められます。
MBO失敗の本質
多くの企業で取り入れられているMBO(目標管理)ですが、組織と個人の目標が乖離して形骸化している例も少なくありません。上司がMBOの目的を正しく理解し、以下のような条件・要素を意識してうまく連動させることが重要とされています。
MBOの実効性を高める3条件
- モチベーションについて検証する
- グループを単位とする
- 評価者を評価する
MBOを導入する前に考慮すべき3要素
- 理想自我の理解
- 部下による自己検証
- 上司の自省
ピグマリオン・マネジメント
ピグマリオン効果とは周囲の期待や働きかけによって成長を促す教育心理学の理論です。
逆に、期待しない「沈黙」は期待値の低さを伝えてしまうことになったり、一定以上の期待値は逆効果となることもあり、周囲の期待や働きかけをマネジメントすることの重要性が説かれています。その中で直属の上司の能力こそが最も影響力が大きいということで、マネジメントの重要性も説明されています。
モチベーショナル・リーダーの条件
「マクレランドの欲求理論」によると労働者には「達成動機」「権力動機」「親和動機」の3つの欲求があるとされています。優秀なマネジャーは親和動機以上に権力動機が高い傾向があり、組織の成果視点で自己をコントロールするマネジメントが求められます。
マネジャーの権力動機は周囲に影響を及ぼすものでなければならない。つまり、個人の利益だけでなく、組織全体の利益にもなるようにコントロールされている必要があるのだ。
理想職場のつくり方
モチベーションが高く育成に成功している組織は「シグニチャー・エクスペリエンス」をうまくマネジメントできているとされています。「シグニチャー・エクスペリエンス」とは以下のように説明されています。
組織において従業員たちが経験できる、目に見える全体的な特徴のことである。それ自体、会社に価値をもたらすものだが、組織の文化と価値観を示すシンボルとしても強力かつ安定的に機能する。
Y理論は万能ではない
X理論は「人間はなまけものなのでルールや命令で管理しなければならない」とする理論で、Y理論は「人間には自己実現の欲求があるので、自主性を尊重して自己成長の環境を提供しなければならない」とする理論です。X理論、Y理論のどちらが良いというものではなく、組織特性と業務から以下の2つにフィットするものが良いとされています。
- 公式特性
- 公式に決められた業務慣行
- 環境特性
- その職場で働く個人が抱いている主観的な認識であり、あるべき方向
以下の3つの基本的なコンティンジェンシーの関係は互いに影響しあっているとされています。
- 組織と業務のフィット
- 個人のセンス・オブ・コンピタンスへの動機
- 業務のパフォーマンス
結局のところ、X理論かY理論か、あるいはその他の理論か、というのは、業務と人材にフィットするように組織を構成するのが最も重要であるということです。
本物のリーダーは社員と業績を秤にかけない
どうすれば業績を維持しつつ高いモチベーションを引き出し続けられるのか?という問いに対して、優れた組織のリーダーには以下のような戦略が必要であるとしています。
- 人心を掌握する
- 信頼を勝ち取る
- 社員と強い絆を築く
- 目標に焦点を絞る
- リーダー層全体の能力を向上させる
- 共通の目的を掲げる
- よりよい社会づくりに貢献する
- 周囲に誇れる業績を上げる
- 成長機会を提供する
- 幅広い視野を備える
【読書メモ】人と組織を効果的に動かすKPIマネジメント
- 作者: 楠本和矢
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2017/10/21
- メディア: 単行本
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4月で新年度を迎えた企業はそろそろチームや組織の目標が決まっているころだと思いますが、個人的に最近一番参考にしているのがこの本です。KPIを決めることも大事ですが、自分たちの現状を見つめ直したうえでチームが今一番やるべきことを見つけ出すためにもこの本に書かれていることがとても参考になります。チーム目標を決めるための教科書だと思っています。
具体的な内容はぜひ書籍を読んで頂くのが良いと思いますが、目標設定の教科書とすべきKPIマネジメントの重要性について簡単にまとめたうえで、書籍に出てくるいくつかの用語や理論について整理しておきます。
KPIとは
KPI関連の用語についてはいまさら説明不要と思いますが、書籍内での定義・使い方を簡単に整理します。詳しい解説はネット上にたくさん見つかるのでそれらを参考にすると良いでしょう。
KFI(Key Financial Indicator)/KGI(Key Goal Indicator)
- 売上、利益など、事業活動の大目的である「財務的な成果」を把握するための指標
KRI(Key Result Indicator)
- KFIに最も効果的につながっていく「あるべき状態(KR:Key Result)」がどの程度成立しているかを把握するための中間指標
- KRIがあることで、どのようにターゲットが動き、導入につながっていくかという「ストーリー」が明確に描けないと機能しない
KAI(Key Action Indicator)
- 重要活動指標
- KRIを高めていくための具体的なアクション
- どれだけ「個人として/組織として」実施したかを把握するための指標
KPIマネジメントとは
著者は「なぜKPIマネジメントが必要か?」について、以下の3点をあげています。
- 競争環境の複雑化
- 個人の生産性向上が急務
- 雇用人材の多様化
特に重要なのが、
組織の知恵を結集し、自社ならではの「勝ち筋」を見つけ、明確に絞り込まれた指標のもと、組織全体としてそこに注力していくことが求められる
という事です。「勝ち筋」というのは、言い換えればKRIの説明にも出てくる「ストーリー」です。つまりKRをいかにうまく整理するかがKPIマネジメントの重要なポイントです。
インサイト探索
インサイトとは、以下のように説明されています。
すでに表面に現れているものではなく、本人自体が未だ気づいていない隠れたニーズ、建前でなく本音の部分、刺激によって出てくる感情などを意図して使われる。
マーケティング用語では顧客に対して使われますが、この書籍では顧客に限らず組織の関係者やステークホルダ全般に対して使われています。
KRを導くために重要なのがインサイト探索であると述べています。
確証バイアス
心理学の用語です。インサイト探索の際に確証バイアスによって都合のよい情報ばかりを集めてしまう危険性が述べられています。
アナロジカル・シンキング
アナロジーはある事柄に対して類似性のある別の事柄に適用する認知過程のことで、戦略的な意思決定の際に使う手法のひとつです。インサイト探索で有効な手法のひとつとして紹介されています。
アナロジーのさらに具体的な論理的推論の手法として演繹法と帰納法、アブダクションが出てきます。これらは問題解決の分析手法としてビジネスシーンで広く使われている手法だと思います。
KPIマネジメントの整理と成果
本書の中盤では実際の企業でのKPIマネジメントの事例が紹介されています。その中で企業の事業戦略を分析して以下の項目にまとめています。KPIを整理する際にこの項目によるまとめ方は参考になりそうです。
- 大目的
- サービスをとりまくステークホルダの意識
- どういう状態になれば目的につながるか
- KPI
- アクション
- 成果
管理者がチェックするための視点
最後の章では設定したKPIを上位の管理者がチェックするための視点が説明されています。これはセルフチェックの際にも役立ちそうです。
- ターゲット/対象者の選び方は適切か
- 正しく「あるべき状態(KR)」を設定できているか
- 正しく「キーアクション(KA)」を設定できているか
- ストーリーは全体的に納得感があるか