【読書メモ】カンバン仕事術
- 作者: Marcus Hammarberg,Joakim Sundén,原田騎郎,安井力,吉羽龍太郎,角征典,?木正弘
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2016/03/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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カンバンを導入して取り組むにあたって参考にした書籍。書籍にも書いてあるがカンバンを導入するにあたって確実な正攻法があるわけではなく、導入するチーム自身がその現場に合った形を模索しなければならない。そのためにはこの書籍に書いてあるテクニックや応用事例の意図やねらいを理解することが重要だ。
第1部カンバンの学習
物語風にカンバンをざっくり説明
第2部カンバンの理解
3つの原則
- 見える化
- WIPの制限
- 流れの管理
情報の見える化
- 透過性と情報共有
- 暗黙的な知識やポリシーを明示化
- 矛盾や不一致を明らかにする
- 関心のあるすべての人に情報を伝える
作業項目(カードに何を書くか?)
- 説明
- アバターなどのマーカー
- 納期などの重要な日付
- 追跡IDや外部システムへの参照(RedmineのIDとかGitのissueのidなど)
- ブロッカー
- 作業の種類
- 進捗インジケータ
- サイズ
- ワークフローデータ、感情、ボード上の流れから収集されたデータ
WIP(仕掛り作業)
- WIPを増やすとサイクルタイプが延びる
- 大量のWIPが引き起こす悪影響
- コンテキストスイッチ(別の仕事への切り替えに負荷)の増加
- フィードバックループの遅れにより、余計な仕事が増える
- リスクの増大
- オーバーヘッドの増大
- 品質の低下
- モチベーションの低下
WIP制限
- 唯一の正しいWIP制限というものはない
- 制限をかけることがゴールではなく作業の流れを改善することがゴール
- 制限は小さいほうがいいが小さすぎてもだめ
- 制限のかけかた⇒全体、列、人など
流れの管理
- 邪魔や待ち時間が発生することなく価値を生み出しているのが理想
- 終わりのない探求
- プロセスの問題を見つけるのにも役立つ
- WIPを制限する
- 待ち時間を削減する
- タイムボックスやSLAのようなゴールを作る
- デイリースタンドアップを取り入れる
- 習慣にする(同じ場所、同じ時間)
- 個別の議論は別途
- 作業者ではなく作業にフォーカス
- ボードの右(ゴール)から左へ
- 逸脱(嫌な臭い、怪しい状態)にフォーカス
- 複数チームにスケール可能だがその場に適した形を考える(出席者、階層ごとの分割と報告の順番など)
第3部カンバンの応用
サービスクラス
- 作業の種類を結びつける
- 緊急、確定納期、通常、欠陥、無形など
- サービスクラスごとに作業の選択、スケジューリング、作業配分などを決めて自己組織化する
計画づくりと見積もり
- 適切な頻度で計画する
- ディズニーランドの待ち時間もひとつの方法(それまでの実績から待ち時間を予想する)
- 相対見積もりのほうが望ましい
- ストーリーポイント
- Tシャツサイズ
- 見積もりテクニック
- カード
- プランニングポーカー
- ゴルディロックス
- ケイデンス…自然なリズムや鼓動
プロセスの改善
メトリクス
- サイクルタイム…プロセスの一部を完了する時間
- リードタイム…プロセス全体を完了する時間
- スループット…一定期間に完了した項目数
- ボードにある課題やブロッカーの数
- 納期遵守率
価値要求と失敗要求
SPCチャート…リードタムとサイクルタイムを見える化
- CFD(累積フロー図)…毎日のステージ別の項目数
カンバンの落とし穴
- 永遠に続く長い作業にならないようにする⇒レビュー、振り返り、計画づくりなどを必要に応じて追加
- 今いる場所から初められるが時には変革が必要
- WIPの制限なしで始めることは最大の間違い
まとめ
ただ単にタスクを可視化したいだけならこの本に書いてあるテクニックをなぞるだけでも実現可能だ。しかしトヨタが生み出したカンバンの本質はチームが共通の改善認識を持って無駄のない一個流しを実現することにある。そのためにはカンバンの原則を理解したうえで、どのテクニックを活用すればより理想な形に近づけるかを考え、試行錯誤を繰り返して取り組むことが重要だと思う。書籍を手元に置いて時々読み返しながら取り組むと良さそうだ。