【読書メモ】リーダー論
- 作者: 野村克也
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2013/07/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最近、スポーツのチームマネジメントに興味を持つようになって色々読み漁っています。野球が多いのは完全に自分の好みによるものですが。
この手の本を読むならノムさんは欠かせないだろうということで読んでみたのがこの本でした。ノムさんの書籍の中では比較的新しいということもあり、読みやすくてあっという間に読むことができました。
プロフェッショナル集団を率いるリーダーに必要なもの
ほんとうのプロフェッショナル集団を率いるリーダーに必要なのは、技術力やすでに持っている能力を超えて闘いを挑むための知恵なのである
プロフェッショナルであるなら何よりも「知力」を重視する必要があるとしています。プロフェッショナルは専門家なのでその仕事の深い知識を持っているのは当たり前であり、プロフェッショナルを束ねるリーダーは部下を圧倒するだけの知識や理論を持っていなければならないと述べています。これはエンジニアに置き換えても同様の事が言えます。プロフェッショナルとしての知識や理論を持ち、「知力」を使ってエンジニアが納得できるビジョンを示すことがエンジニアのリーダーに求められると言い換えることができるのではないでしょうか。
また、決断をするか否かが監督とコーチの根本的な違いであり、リーダーは判断力だけでなく、決断力も持たなければならないと述べています。
判断が正しかったとしても、決断しなければそれは絵に描いた餅にすぎない
決断とは一種の賭けなのである
瞬間的な決断を求められるのがチームのリーダーなのです。
一方で、チームを発展させるうえで欠かせない条件のひとつに「未来想像力」という言葉をあげています。これはチームの将来あるべき姿を明確にイメージし、具体化していく能力のことです。
チームを発展させるために行う監督の仕事を以下の3つに分類しています。
- チームづくり
- 人づくり
- 試合づくり
中でも「人間教育」こそが強い組織のもととなると述べています。
人間を磨かなければ、すなわち思考を変えなければ、進歩も成長もない
技術だけを磨くことには限界があります。思考は行動を決めるため、意識を変えることで日々の過ごし方や仕事に対する取り組み方が変わり、仕事の質が高まるということです。これもエンジニアに置き換えると自己組織化やメンバーとのメンタリングに繋がるマネジメント論に置き換えることができるのではないでしょうか。
ドラッカーの『マネジメント』に通じる理論
P.F.ドラッカーは『マネジメント』の中でマネジャーの役割は次の2つだと言っています。
- 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本
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- 投入した資源の総和よりも大きなものを生みだす生産体を創造すること
- あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくこと
ノムさんのリーダー論はドラッカーにも通じるマネジメント論であると感じました。
リーダーは「未来想像力」を持って人を遺すべし
最後は以下の一文で締めくくられています。
その人のもとからどれだけの人材が育ち、羽ばたくことができるか。その人のリーダーとしての価値は、最後はそこで決まると言ってもいいのではないだろうか
技術と知識で専門性の高い成果物を生産するのがプロフェッショナルであり、プロフェッショナルを継続的に生産する仕組みをつくるのがプロフェッショナルな組織のリーダーであると言えます。