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【読書メモ】OKR

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKRは目標の設定・管理手法の1つです。現在Googleの取締役に就任しているジョン・ドーア氏がインテルに勤めていた頃に導入し、その後Googleに移ってGoogleにも取り入れ、現在ではシリコンバレーだけでなく日本の企業でも事例が増えているようです。Googleは働き方に関する取り組みを「re:Work」というサイトで公開していますが、そのサイトでもOKRについて詳しく紹介されています。

rework.withgoogle.com

目標と成果指標

OKRはObjectives and Key Resultsの頭文字を取ったもので、ObjectivesとKey Resultsで構成されます。基本的にはこのOとKRがOKRの全てです。

O:Objectives

  • 定性的なゴール
  • 1つだけ決める

以下の条件を満たすひとつの文にする

  • 定性的で人を鼓舞する内容にする
  • 時間的な縛りをつくる
  • 各チームが独立して実行できるようにする

KR:Key Results

  • Oを達成できたかどうか判定する定量的な指標
  • 3つぐらい決める

例えば以下のような測れるもの

  • 成長率
  • エンゲージメント
  • 売上
  • 性能
  • 品質

難しいが不可能ではないKRを設定する

自信度を1〜10としたときに5になる(できるかできないかは半々)ようなKRを設定するのが良いとされている。

OとKRで成果にフォーカスして短期サイクルでPDCAを回す

本書は2部構成になっていて、1部はあるシリコンバレーのスタートアップがOKRを導入する架空の物語で、2部がOKRの基礎知識の解説と、具体的な実装事例のコラムです。基本的には前述の通りOとKRが全てであり、いかにうまくOとKRに集中して取り組むがカギですが、その実装は使う側に委ねられています。そのために第1部の物語も含めて大半が事例の紹介にあてられているのだと思います。

やり遂げれない5つの理由

冒頭では「やりたいことがなぜ実現できないのか?」という問いから始まり、次の5つの理由があると述べています。OKRをうまく運用するためにはこの5つを意識してやり遂げるためのOとKRを設定しなければなりません。ここでつまずくと導入してもうまくいかないと思われます。

  1. ゴールに優先順位を付けていない
  2. 熱意を持って漏れなくゴールを伝えていない
  3. やり遂げるがめのプランがない
  4. 重要事項のための時間を空けていない
  5. 繰り返さずにやめてしまう

1週間サイクルでの実行例

OKRの実装の一例として毎週月曜にチェックイン・ミーティングを行い、金曜日に目標達成に向けた成果を確認するウィン・セッションを行うことが紹介されています。

チェックイン・ミーティング

4つの四角形に以下の項目を入れて毎週確認する方法が紹介されています。

  • 今週の優先事項
    • 目標達成に向けて直近でやる最も重要な仕事の内容をあげる
  • 今後4週間の予定
    • チームで共有しておく今後の予定を確認する
  • OKR自信度状況
    • 10段階の自信度が5になる目標を設定して、それがどう変化しているかを確認する
  • 健康・健全性指標
    • 目標に向けて取り組む中でもチームが守りたい健全性の指標(例えばテストコードのカバレッジを何%以上にするなど)を確認する

スクラムとOKR

文中でも少し触れられていますが、OKRという手法の根底にあるものはスクラム開発と似ています。チェックイン・ミーティングはスプリントプランニング、ウィン・セッションはスプリントレビューと同じ位置づけのイベントで、優先順位を付けて価値にフォーカスする点、シンプルなルールで実装が使う側に委ねられている点なども似ています。本文中でOKRは必ず1回は失敗すると書かれていますが、スクラムも慣れるまでは成果がでないとよく言われます。どちらも、競争の激しいシリコンバレーでビジネスの成果にフォーカスしてPDCAを回す試行錯誤の中で確立されてきた手法であることが覗えます。

企業でのOKR導入事例

日本でも実際にOKRを導入している企業の事例がいくつか見つかりますが、特にアジャイル開発プロセスと組み合わせて導入している企業が目に付きます。それぞれの現場で試行錯誤している状況も感じられます。

medium.com

logmi.jp

seleck.cc

goodpatch.com

個人からスタートする

企業の目標設定手法としてのOKRは手軽に実践できるものではありませんが、アジャイルなプラクティスと同様にまずは個人の取り組みに一部を取り入れてみる事例もいくつかみつかります。

note.mu

kths.hatenablog.com

巻末に及川卓也さんが解説を書かれていますが、その中でも個人的な目標達成にも大きな効果があることに触れられています。特に以下の2点でOKRが役立つと書かれています。

  • タスクの優先度が明確になる
  • 継続するためのモチベーションが維持できる

これらは近年よく見かけるPDCA系の本でも共通して重点が置かれていポイントだと思います。まずは個人からやってみるのも良いかもしれません。