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レディオキャットハテナ

【読書メモ】グーグルのマインドフルネス革命

以前参加したマインドフルネスの勉強会で興味を持ってから、もう少し書籍で知識を整理しておこうと思いこの本を読んでみました。寝る間を惜しんで働けば成果が出せる時代ではなくなっていることは多くの人が認識していることと思います。多くの企業がハイパフォーマンスな個人・組織を生み出すために試行錯誤しており、そのひとつとして脳と心のメンテナンスを行うマインドフルネスが注目され、取り入れられているのだと思います。書籍の中ではマインドフルネスを体験した人の「ハードディスクのデフラグのようだった」というコメントを紹介しています。

そもそもマインドフルネスとは何かについては下記の勉強会レポートを参照。

radiocat.hatenablog.com

ネット上からも様々な情報を得ることができると思います。

マインドフルネス - Wikipedia

この書籍ではマインドフルネスの定義について以下のように述べられています。

瞬間、瞬間、今という時間に気づくこと。好奇心や親切な心、思いやりの気持ちに満ちているもの

マインドフルネスの効用

この本では個人にとっての効用と組織やコミュニティーにとっての効用があると述べられています。

個人にとっての効用

外部刺激に対する反応の仕方が変わります。

  • 状況に対してすぐに怒ったりせずに意識的に捉え直すことができる
  • 思いやりの気持ちが育まれる

組織やコミュニティーにとっての効用

感情的知性(Emotional Intelligence)を持ち、EQの高い組織になることで、以下のような状態になることが期待できるようです。

人間関係のもめごとなどにエネルギーを費やすことが少なくなる(中略)本来の仕事に、多くのパワーを費やすことができるようになります。

ja.wikipedia.org

マインドフルネスの科学的な研究

神経科学の研究が進み、科学的にも効果がわかってきているようです。

自分の行動や自分の幸せを左右するのは「脳」であること、そして、脳には機能的、構造的な変化を起こしていく柔軟性があること、瞑想によってそういった能力が開発できること、さらにその事実を科学が証明している

サラ・レイザー博士の研究では「慈悲・思いやり・共感」の関連が証明されています。

www.youtube.com

スタンフォード大学のCCAREではマインドフルネスに関する様々な研究が行われています。

ccare.stanford.edu

president.jp

仏教と科学

マインドフルネスの元となる瞑想を生み出した仏教はもともと科学と親和性のある宗教だと言われており、ダライ・ラマも科学と強い関係を持っているようです。

j-theravada.net

www.tibethouse.jp

グーグルの事例

瞑想を導入した理由

基本的には前述のマインドフルネスの効用に倣って、個人と企業の両方にメリットがあるとして取り入れられたようです。

個人にとってのメリットは「自己を認識する力と自己を制御する力が身につく」ことです。

この二つは、わたしたちが仕事に取り組むときに必要な「意思」と「自分自身に思いやりを持つ気持ち」の整合性をとるために不可欠なものです。自己認識と自己制御の力を持っている人は、そうでない人に比べて、仲間と一体感を持ち、調和の中で働くことができます。

企業にとってのメリットは「慈悲に基づく決断、より大きな利益に基づいた決断」ができる点をあげています。

グーグルでの取り組み

フォーマルな取り組み

SIY(Search Inside Yourself)

siyli.org

インフォーマルな取り組み

ヘッドスペースというアプリを導入して社内の様々な場所でマインドフルネスを実施できる環境があるようです。ヘッドスペースはアンディ・プディコム氏が考案したものです。氏はチベットで仏教僧として修業を積んだ後、還俗してヘッドスペースを立ち上げました。ちなみに、アプリは10日間無料で体験でき、その後は有料で本格的なマインドフルネスのコースを受講することができます。

play.google.com

アンディ氏はTEDも出演してマインドフルネスの効果を語っています。

www.ted.com

より実践的なマインドフルネス

より実践的な方法として以下の2つが紹介されています。

ヴィジュアリゼーション

イメージトレーニングのように、視覚的な何かをイメージしながら行う瞑想方法です。書籍では太陽の光が身体に当たるのをイメージしながら行う瞑想方法が紹介されていました。

リフレクション

タフな質問を投げかけて内省する瞑想方法です。下記のような質問を自分に投げかけてそこから湧いてくる感情やそれに対する自分の反応を観察する瞑想方法が紹介されていました。

「そばにいないと一番寂しさを感じる人は誰ですか?もしくは、そばにないと一番寂しさを感じる物はなんですか?」