【読書メモ】実践!フィードバック
はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」
- 作者: 中原淳
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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会社から推薦されて読んだ書籍です。個人的な課題感から最近はコーチングの本をよく読んでいましたが、この書籍の「フィードバック」という手法はコーチングとは違う切り口で同様の課題にアプローチできる手法だと思いました。なので、コーチングとの比較視点でまとめてみます。
フィードバックとは
耳が痛いことであっても、部下に現状をしっかり伝えて(=情報通知)、将来の行動指針をつくること(=立て直し)
フィードバックを成功させる5つのステップ
- 信頼感の確保
- 事実通知
- 問題行動の腹落とし
- 振り返り支援
- 期待通知
1の部分はラポールとも呼ばれてコーチングなどでも取り入れられている手法です。
2と3がコーチングと違うアプローチで、コーチングでは核心に迫る質問をすることでクライアントに気づかせるアプローチを取りますが、フィードバックでは事実をしっかり伝えて腹落ちさせるというアプローチを取ります。このアプローチがフィードバックという手法の肝と思います。
また、5もコーチングの場合は「どんな気持ちか?」「他に気になることはないか?」などと確認する、あくまでクライアントが主体となるアプローチを取りますが、フィードバックの手法が期待を通知して終わるのは部下との関係が今後も続く前提のマネジメント手法であるためだと想像できます。ただ、コーチングの手法でもビジネスの現場に取り入れている場合はすでに同様のアプローチを経験的に行っているケースが多いように思います。
SBI情報
事実通知のための情報収集
- S=Situation(どのような状況?)
- B=Behavior(どんな振る舞い・行動?)
- I=Impact(どんな影響?何がダメ/良かった?)
コーチングにしてもふりかえりにしても最初に事実をしっかり確認することは大原則であり、考え方は同じです。「Impact=どんな影響?」が事実確認の重要要素として明示されているのは、ビジネスの現場が前提となっているフィードバック手法の特徴と感じます。
フィードバックするための3つのポイント
- 相手をリスペクトする態度で臨む
- 情報が漏れない個室で行う
- 雑談などで、相手の緊張を解きほぐす
前述のとおりこのポイントはコーチングや1on1の手法でもよく言われるポイントです。
フィードバックのポイント
書籍の後半では事例やケーススタディで実践向けの解説がされています。特にポイントと感じた部分をピックアップします。
- 上司の主観をなるべく排除する
- 回りくどい言い方をしないで、目的をストレートに伝える
- 余計なフォローはしない
- 曖昧な表現をしない
- いつも〜
- ◯◯的
- ◯◯性
- 最もパフォーマンスに直結し、短期間で改善できるポイントを手短に言う
- 誰に言われるかも大切
- 一番伝わる人に伝えてもらう
コーチングの場合はあくまで部下が主体で質問や傾聴によって事実や内省を経て次のアクションを引き出すアプローチなのに対して、フィードバックでは上司が主体となって事実を指摘し、内省を促して部下と一緒に次のアクションを決めるアプローチです。コーチングでは質問力や傾聴といったスキルが重要なのに対して、フィードバックでは上司が主導して核心に迫る事実=SBI情報を集めて整理し、本人に正しく伝えるスキルが必要になりそうです。
コーチングの手法は部下が主体的に話さないとうまく機能させにくい面もあるので、まだ主体的に会話してもらえる関係性ができていなかったり、経験が浅い部下などにはフィードバックの手法が向いているかもしれません。相手に合わせてコーチングとフィードバックを使い分けるのも良いと思います。
※参考