【読書メモ】コーチング入門
- 作者: 本間正人,松瀬理保
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/08/18
- メディア: 新書
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ここ最近、コーチングの関連書籍を横並びで読んでおり、本書も代表的なコーチングの入門書のひとつとして読んでみました。新書ということからもわかるように、コーチングの中でもビジネス・コーチングの分野の書籍です。
著者はコーチングについて、特に「学習」にフォーカスし、『あとがきに代えて「コーチングと学習学」』の中で次のように述べています。
コーチングとは、人間の様々な学びをサポートする基本的な営み
そして、「学習する組織」を引用し、
経営幹部や管理職といったリーダーが、コーチング能力を高め、社内のコミュニケーションを活性化することで、「学習する組織」の実現が初めて可能になると思うのです。
と述べています。「学習する組織」を目指す組織のリーダーが、本書を手元に置いてビジネスの現場をコーチすることを目的に作られていると言えます。ビジネスの現場の視点で書かれていることから、コーチングの中でも特に「傾聴」、「質問」、「承認」の3つのスキルと「GROWモデル」の理論を章立ててまとめられています。知識的には他のコーチングの入門書で述べられている内容と大きな違いはありませんが、ビジネスの現場を意識した表現やまとめ方になっている点は特徴と言えます。前出の3つのスキルごとにその特徴となるポイントをまとめておきます。
傾聴の5つのポイント
コーチングの重要スキルである「傾聴」を「かきくけこ」の頭文字で表現しています。
- 環境を整えよう
- 聴く態勢、座る位置や姿勢について
- キャッチャーミットを準備しよう
- 話を受け止める、しっかりミットで受け止める(「面白い視点だね」など)
- 繰り返し、あいづち、うなづきを入れて
- アクティブ・リスニング
- ※参考: 「アクティブリスニング」とは? - 『日本の人事部』
- 結論を急がない
- 話を最後まで聴く
- 心を込めて
- 真剣に聴いて率直にフィードバックする
- ※参考: コーチングの基本スキル−フィードバックする - 銀座コーチングスクール
7種類の質問
クローズド・クエスチョンやオープン・クエスチョンという手法がよく紹介されますが、本書ではさらに実務に寄せた具体的な手法として7種類の質問に分類しています。
- YES/NOで尋ねる質問
- 依頼するときなど
- 「〜してもらえますか?」
- YESを引き出す「念押し、確認」の質問
- 許可取りの質問
- 「提案してもいいかな?」
- NOを引き出す質問
- 部下のやる気を高めるための極端な質問
- 「来週までに〜するのは不可能かな?」
- 自由回答で意見を尋ねる質問
- リスト3の質問:「ポイント3つあげてみて」
- 自由回答で事実を尋ねる質問
- 5W1Hで質問する
- 選択肢を選ぶ質問
- オープンな質問で部下が答えられない時など
- 「課題の中でどれが一番良い?」
- 数字で答える質問
- スケーリング
- 「何点ぐらい?」「何%ぐらい?」
承認のために「プラスリスト」を作る
部下一人ひとりについて知っていることをまとめる。
- その人の長所・特長・持ち味は?
- 最近の具体的な進捗・成長は?
- 能力開発の通過目標
部下のことを観察し、把握することで以下のようなメリットが得られます。
- 美点凝視
- 意識的に目を向けることで良いところを見つける
- コミュニケーションの量を増やす
- 相手のことをよく理解するきっかけになる
- 通過目標の設定
- 育成のために通過目標を明確にする