【読書メモ】the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
- 作者: スコット・ギャロウェイ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/07/27
- メディア: 単行本
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2018年のベストセラーで、GAFAという言葉を世に広めた書籍です。GAFAとはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を並べた米国の巨大企業の総称です。
著者は起業家、投資家としても活動する大学教授で、自身が関わった事業や経営がGAFAによって失敗に追いやられた経験を持っており、それだけにGAFAに対する分析、評価には説得力があります(やや個人的な恨みも込められていると感じますが)。
本書は400ページを超える大作となっており、GAFAそれぞれの企業についての解説と、共通する成功の背景の分析に約300ページが割かれています。そして後半約100ページで、GAFAの次となる企業や今後の世界の展望について考察しています。
個人的にはGAFA以後について考察する後半が面白いと感じたので、前半のGAFAの解説のキーワードを拾いつつ後半の考察をまとめておきます。
覇権の8遺伝子
GAFAに共通する8つの要素をまとめています。
- 商品の差別化
- ビジョンへの投資
- 世界展開
- 好感度
- 垂直統合
- AI
- キャリアの箔づけ
- 地の利
8つの独立した要素というよりはそれぞれ関連したものであり、特に商品の差別化はそれ以外の7つの要素によって他社が真似できない差別化に繋がっていると思います。AIはその技術というよりそれを支えるデータが最強の武器であると述べられています。また、キャリアの箔づけとはトップクラスの人材を集める力のことです。GAFAのいずれかに所属することでエリートの仲間入りができるという状態を作ることで超優秀な人材を集め続けることができます。地の利は優秀な人材を排出する大学など、人材集めに適した都市を抑えていることです。
個人が成功するために必要な内面的要素
GAFA「以後」の世界は、勝者総取りの経済の影響もあって超優秀な人間にとっては最高だが平凡な人間にとっては最悪であると著者は述べています。そんな世界で個人が成功するためには次のような内面的要素が重要であると説明しています。20項目以上ありましたがそのうち10項目をピックアップしておきます。
心理的成熟
デジタル時代の労働者は数多くの関係者に対し、1日の間にさまざまな役割をこなさなければならないことが多い。そのような状況では、成熟した人間のほうが有利だ。
近年取り上げられているEQの重要性が説明されています。
好奇心
昨日うまくいっていたことが今日には時代遅れとなり、明日には忘れられる。まだ聞いたこともない新しい道具やテクノロジーに取って代わられるのだ。
また、単に好奇心を持つだけでなく、試してみたりアイデアを出せる行動力も重要であるとしています。
当事者意識
チームの誰よりも細部にこだわり、何をいつ、どのように終わらせる必要があるか検討する
人と同じように与えられたことだけをこなしていても成功しないということだと思います。前出の心理的成熟や好奇心を支える思考とも言えます。
大学に行く
人生において大学とはぜいたくな場所である。そこでは熱意あふれる聡明な若者たちや優れた頭脳を持つ学者たちに囲まれ、世界が与えてくれるチャンスについてじっくり考えることができる。
米国と日本では多少状況が違うとは思いますが、人生の中でも様々な人や世界に触れる機会と考える時間が得られる場であることは共通していると言えます。 また、大学以外の選択肢として「資格・証明」も挙げられています。
もし大学があなたの好みではないならば、平均時給1ドル30セントで働く世界中の70億人とは違っていることを証明するものを見つける必要がある
一昔前ほど言われなくなりましたが資格はいまだに個人の価値を表すものとして効果があり、今後もそれは変わらないでしょう。
何かをなしとげた経験
そもそも競争に参加していなければ、勝者にはなれない。勝つためにはまずフィールドに出て、リスクを背負い(顔を殴られるかもしれない)、ときには失敗の屈辱に耐えなければならない。それでこそ何かをなしとげられる。競争には勇敢さと、行動する意思が必要だ。
競争社会である以上は何かをなしとげようと挑戦したことがあるかどうかは大きな違いがあります。
都市に出よ
富、情報、権力、そしてチャンスは都市に集中している。イノベーションは多くのアイデアが集まるところで起こり、進歩は人間の直接の交わりから生じる。
ネットの普及によって分散すると思われていましたが、現状はむしろ都市に集中しています。都市であればどこでも良いということではなく、GAFAが地の利を抑えているように、自分の成功に必要なものが集まる場所にアクセスできる状態を作ることが大事ということだと思います。
自分のキャリアをよく見せる
よい仕事をしても、それを宣伝して自分のものだと主張しないと、正当な報酬は得られない
そもそも特定の個人の成果を知る機会は多くないので、自分を宣伝するメディアを見つけておくべきと述べています。大統領ですらSNSで発信する時代ですし、ほとんどの著名人が何らかの発信手段を持っています。
株と計画
現金の報酬は生活水準を上げることはできるが、生活水準が上がるとそれ相応の生活をするためにお金が必要になるので財産は増えない。そのため報酬の一部を株で得られるようにすべきと述べています。
豊かな生活への計画には、収入以下の生活、そして収入を生む資産形成が必要である。豊かさとはいくら稼ぐかよりも、きちんと計画を立てることなのだ。
株が大事ということではなく、豊かさを得るために計画的に生活をするということです。
会社とは「連続的単婚」を心がける
離婚するのはかまわないが結婚している間は誠実に
転職は否定しないが、1つの所属先で集中して成果を出してから次のステップに進むということです。
頑強さ
体を健康に保つことができれば、うつになる可能性も低く、思考が明確になり、よく眠れ、未来の伴侶の選択肢も多くなる
心身ともに健康であれということです。ほとんどの経営者は定期的に運動をしているとも書かれています。
書籍について書かれている以下のサイトの記事も参考になります。