【読書メモ】40歳からの本を書く技術
- 作者: 三輪裕範
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/01/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アウトプットの精度を高めたいという動機で本を書くレベルの技術とは何か興味を持って読みました。特に本を書こうと思っているわけではなく書籍の出版に関する部分は軽く読んだ程度なのでここでは触れません。
インプットの重要性
本を書くというアウトプットがテーマですが、テーマの選び方や着眼点、情報収集のしかたなど、半分ほどはインプット系のことが書いてあります。アウトプットするためには、まずはしっかりインプットしましょうということです。他のアウトプット系の書籍でもまずインプットについて書いてあることが多いので、当然のことと言えるかもしれません。
読んで情報収集するための4つの留意点
- 問題意識を明確にする
- 情報の「メタ化」を行う
- 一定量のインプットによって蓄積する
- 速読は必要ない
興味を持ったことを何でもかんでもインプットしてもアウトプットの精度は上がらないので、どういう問題意識でインプットするかを明確にし、読者に付加価値を与えられるようにインプットに磨きをかけていきます(メタ化)。
一定量のインプットについては「プラトー」が紹介されています。学習を続けていくと一定の段階で成長が止まり成果が出なくなる期間があります。そこで頭打ちというわけではなく、さらに学習を続けることで再び成果が現れるようになります。これを「プラトー=学習高原」と呼ぶそうです。プラトーを超えた段階の知識こそが価値が高く、読者に付加価値を与えられるインプットになりうるということだと思います。
速読については否定しているわけではなく、無理にやる必要はないということです。
そこで受けた刺激について自分自身で考えるということが最も大切です
速く読むにしろ、ゆっくり読むにしろ自分の中で理解を深めることができれば良いということです。
ショーペンハウアーの「読書について」の中でも次のように述べています。
本を読んでも、自分の血となり肉となることができるのは、反芻し、じっくり考えたことだけだ
- 作者: ショーペンハウアー
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/09/25
- メディア: Kindle版
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分かりやすい文章を書く
アウトプットの質にとって一番はやはり文章のわかりやすさであると思いました。本を書くということで、まずメールなどの特定の相手に向けて書く文章との違いを意識することが重要だと述べられています。
あなたとあなたが文章を書こうとする相手との間に、その文章の話題やテーマについての情報共有の程度に差がある
そもそも不特定多数を相手に文章を書くので、読み手によっては知識のレベルに大きな差があります。そのため、注意すべきことは「わかりやすい文章」を書くことに尽きると述べられています。
分かりやすい文章を書く4つの秘訣
- 文の長さをできるだけ短くする
- 曖昧さをなくす
- 接続詞を大切にする
- 数量化する
著者の目安では文の長さは40〜100字の範囲内だと述べられています。
一文が長くなればなるほど、その文の中に入ってくる主要な内容と、それを修飾する文が増えてくるため、加速度的に文意が不明確になっていきます。
長くなればその文が主とする内容が曖昧になってしまうということです。ただ、短文ばかりではなくある程度の長さの文章も織り交ぜてリズム感を出すほうが読みやすく、読者を楽しませる手法として勧められています。
40〜100字の範囲内で、短い文章と長い文章を「ほどよく混ぜる」
曖昧さについては形容詞と副詞、読点の使い方にスポットが当てられています。「ここではきものを脱いでください」のような様々なところで引用される古典的な例もあるので説明不要だと思います。
本書では次のように2段階で文章を整えていくことが勧められています。
- 修飾語と被修飾語を近づけるという作業を先に行って文章を作った上で、
- 適切な場所に読点を入れる
接続詞については「文章における方向指示器であり、接着剤の役割を果たしています」としつつも、使いすぎると稚拙な表現になりリズム感を損なう懸念から、最初は文章の論理性を重視して接続詞を除外せずに入れていき、書籍化されるまでの校正の中で削っていくのが著者のやり方のようです。
数量化については前出の形容詞と副詞の使い方の発展型と言えるかもしれません。修飾語を使うのではなく具体的な数字で表現することで曖昧さを省きます。
「非常に」とか「高い」などというった副詞や形容詞ではなく、その代わりに、客観的な具体的数字を使うことによって、文章の曖昧さを除くことができます
つまり、読み手によってイメージが変わるような曖昧な表現を徹底的に排除していくことが、著者の考える書籍化レベルの分かりやすい文章を書くためのアプローチであると言えます。
文章力を養う4つの心がけ
上記のようなアプローチによって分かりやすい文章を書けるようなスキルを得るために心がけることとして次の4つをあげています。
- 多読する
- ひいき筋の著者をもっておく
- よいと思う文章をまねて書く
- とにかく書く
結局のところ、インプットとアウトプットを繰り返し地道に回数をこなしていくということであると言えます。