【読書メモ】マインドセット「やればできる! 」の研究
- 作者: キャロル・S・ドゥエック,今西康子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2016/01/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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会社で社長から紹介されたので図書館で借りて読んでみました。ちなみに図書館に置いてあったのは旧版ですが、内容はほぼ同じだと思います。
「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力
- 作者: キャロル S.ドゥエック,今西康子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本
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マインドセット
著者のキャロル・S・ドゥエック博士によると、マインドセットには人の知能は固定的であると考えるマインドセットと、努力しだいで知能も成長すると考えるマインドセットの2種類があるとされています。そして、そのマインドセットの持ち方しだいで「学習意欲や学習行動、ひいては成績に大きな違いが出てくる」と言われています。
固定型マインドセット(固定的知能観)
- 自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている
- 能力を固定的にみる世界では、努力は忌まわしいこととみなされる
- 人間を学習から遠ざけてしまう
成長型マインドセット(拡張的知能観)
- 人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができる
- 能力は伸ばせると考える世界では、努力こそが人を賢く、有能にしてくれる
どちらか一方ではない
ほとんどの人が「両方のマインドセットを併せ持っている」とのことです。ただし、「能力は伸ばせると信じている分野の能力は、実際に伸びていく」の述べられています。実際に子どもたちに難しいパズルの問題を与えた実験では「能力をほめると生徒の知能が下がり、努力をほめると生徒の知能があがった」ようです。
自己洞察力
成長型マインドセットの人は自己洞察力も優れているようです。理由は次のように述べています。
学ぶことに重点をおくとなると、効果的な学習をするためには、今現在の能力についての正確な情報が必要になる
一方で固定型マインドセットの場合は以下のように正確な自己洞察ができなくなるのです。
もう伸ばしようがない能力が値踏みされていると思うと、どうしても受けとめ方がゆがんでしまう
対人関係におけるマインドセット
人間関係について考える場合にはさらに2つのことが関わってくる
対人関係では相手のマインドセットと、お互いの関係性のマインドセットの2つが重要になってきます。なぜなら、「人間関係は、育む努力をしないかぎり、だめになる一方で、けっして良くなりはしない」からです。お互いに成長型マインドセットで関係を築いていくことがより良い関係性が築けるのです。これは組織論やチームビルディングの考え方にもつながるように思いました。
生徒や子どもへのマインドセット
子どもを甘やかして、好き放題にさせているわけではけっしてない。高い基準を設け、どうすればそこに到達できるかを教えようとする。そして、あくまで子供を尊重しつつ、公正で思慮に富んだ判断に立って、だめなときはだめと言う。
このあたりは「褒め方」の技術に通じる部分もあります。具体的な行動や考え方を褒めるというのはよく言われることです。生徒や子どもだけでなく人材育成にも応用できるマインドセットです。
学びにフォーカス
成長型マインドセットによって、現時点の能力を受けとめて楽しみながら学習する行動につながると言えます。読みながら「仕事は楽しいかね?」に書かれていることにも通じると感じました。
変わるということ
理論は理解できたとしても、実際にマインドセットを変えることは簡単ではありません。マインドセットを成長型変えていくために本書では「信念」という言葉を使っています。「人の能力は固定で変えられない」という信念を「努力しだいで能力を伸ばせる」という信念に変えていくのです。本書ではそのためのヒントが事例とともに多数紹介されています。
私は今でも、何かうまくいかないことがあったり、期待どおりに事が運ばなかったりすると、一瞬、自分はもうダメだと思ってしまう。(中略)「変わる」といっても、外科手術をウケたように変わるわけではない。たしかに変化は起きていても、摩耗した膝や腰の関節を新しいものと取り替えるように、古い信念がすぐに一掃されるわけではない。古い信念がまだ残っているところに、新しい信念が芽生え、それがだんだんと強くなるにつれて、今までとは違った考え方や感じ方、ふるまい方ができるようになるのである。
本書や関連する情報を追いかけて「成長できる」と信じて行動することで成長型マインドセットが自分に根付いていくのだと思います。以降に読書の過程で得た情報をいくつかリストアップしておきます。
参考情報
必ずできる!― 未来を信じる 「脳の力」
実はこの本に書かれていることの概要は著者自身がTEDで述べています。10分ほどの動画なのでこれを観てから本を読むと理解しやすいでしょう。
The power of believing that you can improve | Carol Dweck