【読書メモ】ヤフーの1on1
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
- 作者: 本間浩輔
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/03/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1on1の場をより良くしたいという思いからこの本を手に取ってみました。具体的な実践方法が紹介されているのでとても参考になりました。
ヤフーの1on1とは
大きく「経験学習」と人材育成ビジョンである「才能と情熱を解き放つ」によって成り立っています。
7・2・1の法則
経験学習の理論で人の成長を決める3つの要素は7:2:1の比率になると言われています。
- 7割は仕事経験から学ぶ(OJT)
- 2割は他者から学ぶ(先輩や上司からのフィードバック)
- 1割は研修や書籍から学ぶ
仕事経験の7割が重要ではありますが、それだけではなく他者からのフィードバックや研修等の自己学習によって学びを深めて学習サイクルを回すことが重要ということです。1on1はこの2割の部分を担い、学びを深めるための要素の1つです。
※参考
才能と情熱を解き放つ
ヤフーの人材育成ビジョンを支えるために以下のような文化が形成されています。
- いろいろな仕事を経験する
- 上司や職場の仲間から観察してもらう
- 経験を振り返りながら自分の職業感について考える
1on1もそれを支える要素の1つと言えます。
1on1の3つのステップ
- 信頼関係の構築
- まずは信頼関係を構築することから始める
- 学びの深化
- 次の行動の決定
- 学びを活かす行動を引き出す
学びの深化のための3つの働きかけ
以下の3つを使い分けて対象者の学びの深化に働きかけます。
- コーチング
- 部下が経験から学び、次の行動をうながすための質問を主としたコミュニケーション手法
- ティーチング
- 知識や技術を知っている人から知らない人に教える行為
- フィードバック
- 上司が部下に期待する仕事の水準と、部下がもたらした成果との差を示す
- いっしょに働く周囲にとって、対象者がどのように見えているかを返す
実践のためのノウハウ
本書では実際に行っている1on1の実践に基づいて様々な事例が紹介されています。特に印象に残った事例をいくつかまとめます。
1on1の技術を磨く方法
シャドーコーチング
- 5人1組で行うコーチングの訓練
ピア・コーチング
- 2人で教え合う
実施タイミング
木曜午後3時から5時がベスト
- 金曜の遅い時間だと宿題を忘れてしまう
- 月曜や火曜は先週のことを覚えていない
外部のコーチよりも社内で育てる
- 社外のコーチはコーチングを受ける人の方向性が会社の方向性と異なっていてもそれを認めてしまう可能性がある
- 部下の才能と情熱を解き放つのではなく単に部下を気持ちよくさせるだけのコーチを育成してしまうリスクがある
1on1は不要と言われてしまった場合
- 信頼関係が構築できていない可能性がある
- 普段のコミュニケーション頻度を上げ、互いに苦手意識を緩和しよう
「特に話すことはありません」
- テーマを2,3用意しておく
- 毎回1人につき5分ぐらい考える
コミュニケーションの定義
ヤフーではコミュニケーションを以下のように定義しているようです。
自分の意図が相手に伝わって、相手が意図に沿って動いてくれること
これはTeamGeekの冒頭で述べている「技術要因と同じくらい人的要因が重要である」という考え方にも通じるものがあります。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
- 作者: Brian W. Fitzpatrick,Ben Collins-Sussman,及川卓也,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2013/07/20
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1on1はコミュニケーションの定義をベースとしてエンジニアの集団が良いチームになるための手段の1つであると感じました。