【読書メモ】「経験学習」ケーススタディ
- 作者: 松尾睦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/11/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書は「経験学習」入門の続編で、前書の「経験学習」に関する理論を踏まえて実践的事例をまとめた書籍です。著者が実際に関わって企業へ経験学習の理論を取り入れた事例として、著者の解説とともに企業ごとの取り組みが紹介されています。これらの事例を理解するためにはまずは前書を読むのが良いと思います。前書のメモはこちらです。
書籍の中で紹介されている企業の事例には、著者自身が論文としてまとめて公開しているものもあります。それらと合わせて書籍で紹介されている企業の取り組み事例の一部をメモしておきます。
ヤフー
経験学習を促進するために、大きく5つの要素を取り入れた人事制度があります。
- ミーティング力の強化
- ビジョンとバリューによる方向付け
- 4つのバリュー
- 課題解決
- 爆速
- フォーカス
- ワイルド
- 4つのバリュー
- 評価制度によるフィードバック
- バリューを360度で評価
- 5段階で360度評価
- 育成方針を話し合う場とそのためのツール
- 人材開発会議
- 中期的育成方針を話し合う
- 人材開発カルテ
- 社員一人ひとりがカルテを記入
- 強み
- 課題
- 理想像
- 理想像に向けた経験のデザイン
- 人材開発会議
- 戦略的なジョブローテーション
- ジョブチェン
- 自己申告型の異動制度
- 3年任期
- ジョブチェン
※参考論文
KDDIエンジニアリング
経験学習サイクルを回す新人研修が行われている。
前書で紹介されている経験学習のツールを取り入れた週報を運用している。
※参考
新人の「ストレッチ、リフレクション、エンジョインメント」を刺激する行動の特徴
- 新人の行動をよく見て、それを伝えている
- 新人と頻繁にコミュニケーションを取っている
- 新人が自分で考えることを促すコメントをしている
サントリー
- 新人1年目で「思い」と「つながり」を鍛える
- 思い=主体性、つながり=協調性
成長実感シート
- 主体性と協調性について3ヶ月ごとに振り返り
- 対仕事、対人、対自己、サントリアンの基本の4カテゴリの習得度を評価する 新人育成の考え方(3段階)
- 基本姿勢(主体性・協調性)
- 基本スキル・知識(対仕事、対人、対自己、サントリアンの基本の4カテゴリ)
- 担当業務において必要な基本スキル・スキル(各部で具体化)
※参考論文
成長実感シートを用いたOJT支援策(サントリーホールディングス)
トヨタテクニカルディベロップメント
「工学的な原理原則の知識」「仮説検証力」の2つの基礎力を3年間で鍛える
技術・技能伝承プログラム
- 「工学的な原理原則の知識」を習得するプログラム
- 部署ごとに用意される
- 4~5年目がプログラムを担当
- 10年以上のリーダーがチェック
現場実践プログラム
- 「仮説検証力」を習得する
- 新人:「すでに答えがわかっている課題」がテーマ
- 原理原則に基づいて仮説が立てられ、自らの力で正しい検証データが得られれば合格
- 2,3年目:「現場においてある程度答えが予想できるテーマ」
- 4年目以降:「独自技術の創造プログラム」
- 6~10年目:「業務上の問題を解決できる」
- 11~20年目:「自ら課題を創造し、解決できる」
- いずれもチームで取り組む
- 「思い」と「つながり」をつかめる
- 1段階上の先輩と上司が指導
※参考論文
若手社員の体系的育成プログラム : トヨタテクニカルディベロップメント社の事例
経験学習を促す6つの支援
いずれの企業の取り組みも人材育成面でいろいろと参考になりますが、著者はこれらの事例をもとに「経験学習マネジメント」のポイントとして6つの支援をあげています。