【読書メモ】コーチング以前の上司の常識「教え方」の教科書
- 作者: 古川裕倫
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/07/12
- メディア: 単行本
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コーチングとティーチングは使い分けが必要と言いますが、どう使い分けるのかはあまり明確ではありません。この本は基本的なことはコーチングに頼る前にしっかり教えるべきという主旨でまとめられています。
「教える」ことで、部下はかならず成長します。これが、どんな手法よりも一番シンプルで、着実に部下が成長するやり方なのです。
一方で、以下のようにも述べています。
いつまでのずっと一方的に教えよと申しているわけではありません。ある一定のレベルに達したら手綱を放して、よき相談相手として意見を求め、リスペクトすべきです。
どいういう部分がティーチングに適しているのかを理解することで、コーチングとティーチングを使い分けるための参考できると思いました。その基本の「教え方」の流れをピックアップしてまとめます。
教えるときの心構え
まずは教える側の心構えについて解説されています。全部で10の心構えについて解説されています。個人的に特に重要だと感じたのは以下の2点です。
- 自分の成長なくして、部下の成長なし
- 待つのも仕事
基本の「教え方」
- 部下の実力を見抜く
- まずは教える相手の実力を知る
- 長所/短所
- 褒めて伸ばす/叱って伸ばす
- 行動力
- 理解力
- プラス思考/マイナス思考
- まずは教える相手の実力を知る
- 仕事の流れを説明する
- 完成形を見せる
- ゴールのイメージ
- 分けて指示を出す
- ステップごとに区切る
- 時間の目安を伝える
- ToDoリストを作らせる
- スケジュールを共有する
- タスクや締め切りの見える化
- 決めたとおりに実行する
- 先入れ先出しで、なるべく予定を変えない
- 3つの責任
- 結果責任は上司
- 遂行責任は部下
- 報告責任は部下
- 3つの報告
- 結果報告
- 経過報告
- 完了報告
- 報告の形
- 要件
- 結論
- 理由・経緯
- 事実と推測を分けて伝える、所感は最後に聞く
- 着実に進行させる
- ごまかしや曖昧を指摘する
- 完成度を上げる
- まず「精度」を求め、次に「スピード」を求める
これらの基本はしっかり教えることで部下が成長できるとして、具体的な「教え方」がまとめられています。最近は一人ひとりの自主性を重視してあまり直接的な指導をしないケースもありますが、これらができていない場合は本人の経験や気付きに任せるのではなく、まずはティーチングとしてしっかり教えるべきということだと思います。これらを整理してチェックリスト化し、コーチングなどの手段に入る前の教育段階として指導すると良いかもしれません。
困った部下の「教え方」
次に、具体的な状況ごとの教え方について解説されています。
- やり方に問題がある
- 指示と違うことをする
- 仕事の質が悪い、仕事が雑
- すぐ知ったかぶりをする
- 期限を守れない
- 何でも依頼を引き受けてしまう
- 余裕を持って仕上げることを知らない
- 完成度にこだわりすぎる
- 何度も同じ間違いをする
- ケアレスミスが多い
- 仕事のツメが甘い
- 単純作業で手を抜く
- 報告が中途半端
- 悪い報告が上がってこない
- 報告が少ない、詳細を話さない
- 報告をメールで済ませる
- 積極性に欠ける
- 曖昧な返事で結局やらない
- 会議で発言しないで後で文句を言う
- 評論家気取りで動かない
- 周りの士気を下げる
- よく遅刻する
- 自分の仕事しかしない
- 言い訳が多い
- 客先で上司の話の腰を折る
これら全てが必ずしもコーチングが不要というわけではないかもしれませんが、経験させる・任せるだけでは育たないケースであることは意識しておくと良さそうです。あるあるの事例が集まっているので、本書の教え方も参考にしてコーチングとティーチングを織り交ぜて教育するのが良いのだろうと思いました。
ワンランク上の「教え方」
最後は自主性を引き出す教え方について書かれています。
- 決断させる
「1つだけ大事なことを言いなさい」
一人前=意見を持ち+行動に移す
ドラッカーの引用
リーダーのしごととは目標を明確にして成果を出すこと 目標を達成したら、リーダーは次の目標を作れ
このレベルまで来るとコーチングの要素のほうが強いかもしれません。実際に書いてある内容もコーチングに近いと感じました。このあたりでティーチング要素からコーチング要素へ割合を転換していくのが良いということだと思います。
全体通して具体例を元にしてあるので読みやすく、基礎をしっかりティーチングして、徐々にコーチング要素を増やしていく過程を理解するのに役立つ書籍でした。