【読書メモ】ファクトフルネス
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
昨年話題になった書籍で、世界の事実の捉え方についてデータをもとに解説していく読み物的な内容です。
世界の人口のうち、極度の貧困層の割合はここ20年で半減しているそうです。しかし著者が世界中の講演でこの事実に関するクイズを出したところ正解率は平均で7%だったようです。「これほど初歩的な世界の事実でさえ、広くは知られていない」と述べています。
本書では事実の捉え方について、間違った捉え方をしてしまう10個の落とし穴を紹介し、正しい捉え方をするためのデータの見方、考え方を1章ずつに分けて説明しています。読み物的な書籍ではありますが、事実の捉え方はビジネスの世界など様々な場面で役に立つものだと思います。10の落とし穴とその解説、参考情報を簡単にまとめました。
分断本能
- 世界は途上国と先進国に分断されているという誤解がある
- 実際には近年、途上国の多くは貧困レベルを脱している
- 途上国の多くは統計上の中間部分に分布していて分断は存在しない
ここで言う貧困レベルは所得レベルを4つのグループに分けた統計情報に基づいています。1965年では先進国の多くがレベル1に属していたが2017年には多くの国がレベル2以上に分布しています。
※参考サイト
ネガティブ本能
- 悪いニュースのほうが目に入りやすく、人にはネガティブな面のほうが記憶に残りやすい本能がある
- 世界の貧困層の分布、平均寿命など様々な分野の情報を時系列で見ていくと多くの場合は良い方向に変化している
- 過去の悪い状態を刷り込まれて今もその状態が続いているという錯覚に陥らないようにする
※参考サイト
下記は書籍中でも紹介されている、著者が作った世界の国の所得や平均寿命を知ることができるWebサービスです。
直線本能
- 統計数値は直線に伸び続けるとは限らず、そうでないケースのほうが多い
- 世界の人口増加は2100年ごろまでは続くがその後は横ばいになると推測されている
※参考情報
恐怖本能
- 我々は「身体的な危害」「拘束」「毒」に関する恐怖を持っている
- 災害や紛争で亡くなる人の数は減っている
- リスクを正しく把握して行動することが求められる
※参考情報
過大視本能
- ただひとつの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまう
- 80:20ルール:全体の8割を占める項目を特定して対処する
- 2040年ごろには世界の所得レベル4の人口は西洋諸国よりその他の国の割合が多くなる
- 西洋諸国の価値観が重要でなくなる
※参考情報
80:20ルールはパレートの法則とも呼ばれます。
パターン化本能
- ひとつの集団のパターンがすべてに当てはまるとは限らない
- 分類を疑ってみることが重要
- 同じ集団の中にある違いを探す
- 違う集団のあいだの共通項を探す
- 違う集団のあいだの違いも探す
宿命本能
- 特定の宗教が大家族が多いなどは、正しくデータを読み取ればただの思い込みであることがわかる
- 人や国、宗教、文化などを不変のものと捉えてしまうが、実際はゆっくり少しずつ変化している
※参考情報
単純化本能
- ひとつの視点だけでは世界を理解できない
- ひとつの道具がすべてに使えるわけではない
- 数字は大切だが、数字だけに頼ってはいけない
- キューバの例
- 政治家の視点:貧乏な国の中でいちばん健康
- 国民の視点:健康な人の中でいちばん貧乏
- アメリカの例
- 同じ所得水準の国々と比べて医療費が高く平均寿命が短い
※参考情報
犯人探し本能
- 誰かを責めるみせしめとしてデータを使ってはいけない
- 犯人ではなく、原因を探す
- 二酸化炭素排出量
- インドや中国が問題視されるが実際は所得レベル4がこれまで排出してきた量のほうが多い
焦り本能
- 小さな一歩を重ねる
- データにこだわる→緊急で重要なことならなおさら、データを見るべき
- 大胆な対策は副作用を考える、たいていは地道な一歩に効果がある
参考サイト
以下をあわせて読むと書籍の理解が深まります。