radioc@?

レディオキャットハテナ

【読書メモ】クレイジーで行こう!

シリコンバレーで水道管の劣化状況を予測するソフトウェアサービスを提供する「Fracta,Inc.(フラクタ)」を創業した加藤崇氏の3年間のベンチャー企業立ち上げの記録です。

www.fracta-jp.com

著者はヒト型ロボットのベンチャー企業であるSCHAFT(シャフト)を創業し、その後Googleに売却したことでも有名です。

500startups.jp

ベンチャービジネスの本ですが、事業会社で働く私にもたくさんの気づきや刺激を与えてくれる内容でした。特に、あとがきで著者が述べている以下の文章が気に入っています。

そう、僕は未来を予測する天才などではなく、現実を懸命に生きた凡人なのだ。これは大いなる凡人の物語だ。凡人であっても、仲間に恵まれ、志を失わなければ、社会にインパクトのあることを成し遂げることができる。

良いチームをつくること

全編通してこの本から学べることは「何かを成し遂げるには良いチームをつくること」であると感じました。そしてそれはベンチャーだとか最先端技術とかは関係なく大切なことであると実感できます。著者も次のように述べています。

技術だとか、営業だとか、テクニカルな問題というのは、結局は乗り越えられるもので、ただしそれを乗り越えるためには、良いチームに恵まれなければならないということだ。

そして、良いチームを支える才能と情熱にあふれた人たちはお金に代えられない希少価値であり、最大の敬意を払うべきであると述べています。

目覚ましいアイデア、才能を持った変わった人たち、その人たちの内側から溢れ出す情熱の集積、こうした非常にソフトなもの、ある種、移り気な才能の固まりのようなものが、経済の中でも非常に重要な役割を果たすようになってきていて、それは残念ながら希少価値を持っているために、世の中に溢れてしまったお金(資本)などよりもよほど重要で、こうした人たち(変わった人たちという希少資源)に対して無限大の尊敬を払うことができなければ、たちまちそっぽを向かれてしまうということになっている気がする。

才能と情熱ある人に敬意を持ち、良いチームで働くことが何より大切であるというのはHRTの原則の理念でもあり、まさにTeam Geekです。

employment.en-japan.com

巨大な資本を持つGoogleのエンジニアと、ベンチャー企業で戦う人たちが同じものを大切にしているということで、HRTの大切さを改めて認識できます。余談ですが、私のチームも 5S とHRTをバリューに設定しています。

正しい日本語を書くこと

もうひとつ、著者が重要だと述べているのが日本語の書き方です。

僕は、昔から自分の部下に対して、日本語の書き方についてうるさく言うことが多かった。何でも自由に見えるベンチャー企業にあっても、これは重要なことだ。なぜならスピードを重視するベンチャー企業経営だからこそ、コミュニケーションによる時間ロスは致命的だからだ。

確かに、良いチームはコミュニケーションの質も高いはずです。正しい言葉の使い方にこだわり、日々改善することが組織の力強い基礎になると著者は述べています。これは組織マネジメントの視点として参考にしたいです。

ベンチャービジネスルービックキューブに似ている

著者が偶然口にして自分で納得したというエピソードが出てきます。これは何となくイメージできて、納得できる部分があります。

ある種のパターンはあるが、最初からパターンにはめようとしすぎると、計算量が膨大になり、逆に解くのが遅くなってしまう。大切なのは、あと2,3手でパターンに落とし込めるところまでは、まずはひたすらクルクル回し続けていくこと、直感を信じつつ、実験的な行動を続け、すぐに諦めないこと、その中でまた新たなパターンを見つけていくことだろう。

しかしこれもベンチャービジネスに限らず言えることではないかと思います。型にはめようとしすぎるとスピード感を失ってうまくいかないのは多かれ少なかれビジネス全般について言えることだと思います。そして諦めずに「クルクル回し続ける」というのはコンパクトにPDCAを回し続けるということだと思います。これもビジネス全般に言えることです。弊社の リーダーシッププリンシプル にも「小さく試して大きく育てる」とあり、私も日頃から大切にしている事のひとつです。

参考

本書に関して著者がインタビューに答えている記事がいくつかあるので合わせて読むと理解が深まります。

www.sankeibiz.jp

goetheweb.jp

president.jp