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【読書メモ】するどい「質問力」

するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する

するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する

『「いい質問」が人を動かす』の著者による実践編的書籍です。いい質問を具体的な行動に結びつけるための実践的な内容なので前著を読んでから読むのがベストだとは思いますが、特にそれを推奨しているわけではなく、実際読んでみると本書だけでも十分理解できるし実践もしやすい内容だと思いました。こちらを先に読んで、より深い知識を得たい場合は前著という順番でも良いかもしれません。前著の読書メモについては下記参照。

radiocat.hatenablog.com

テクニック的な内容もたくさん書いてありますが、今回は次の1点についてまとめます。これは基本姿勢として大切だと改めて感じました。

まず必要なのは「関心」と「好意」

質問のテクニックを使う前にまず相手への「関心」と「好意」を持つこととし、そうでなければテクニックも活かされないと述べています。確かに、先日私が参加した1on1の勉強会でもやり方のテクニックよりも相手に関心を持って質問することがワークショップで重視されていました。コーチングなどで良く言われるラポールや傾聴も関心と好意がベースの考え方だと理解しています。

ロバート・B・チャルディーニ

その説明として心理学者のチャルディーニが引用されています。

en.wikipedia.org

チャルディーニが書いた、人の行動に与える影響力について述べた『影響力の武器』という著名な書籍は、現在のマーケティングに多大な影響を与えています。この書籍で述べられている6種類の影響力の武器の1つが「好意」です。チャルディーニは次のように述べています。

人は好意を抱いている知人からの依頼には「イエス」と言いやすい

このことから、質問も同じで好意を持った人の質問は答えてもらいやすいと著者は述べています。確かに、私が今まで接してきた人を思い出してみても、質問がうまい人は好意的に接してきて自分が興味を持ったこと、知りたいことを上手に聞き出している印象を持っています。

好意を獲得する5つの方法

チャルディーニの理論を踏まえ、好意を獲得する方法として5つの要素を取り上げています。

  • 外見の魅力
    • 身だしなみ、清潔感など
  • 類似性
    • 出身地や出身校が同じだと親近感も持つように、類似性があることで好きになる
  • 賞賛
    • 褒められた人を好きになる
  • 単純接触効果
    • 毎日顔を合わせる人に親近感を持つように、繰り返し接触することで好きになる
  • 連合
    • 好きなタレントがCMに出演するとその商品を好きになるように、好きなものと結びつけて好きになる

これら5つの要素を意識すれば必ず相手に関心を示す必要があります。誰でも自分が好意を持つ人を意識して外見を整えたり、類似性を探したり、賞賛したりします。そうやって好意を持つ相手に近づこうとすれば、関心を持たざるを得ません。そう考えると関心と好意を持たずに相手から答えを引き出す良い質問ができないというのも納得できます。

返報性の法則

良い質問に答えてもらうテクニックとして返報性の法則が紹介されています。

ja.wikipedia.org

相手から受け取った分をお返ししようと考える心理現象です。

人は自分の話を十分に聞いてくれたお返しをしたくなるもの

自分の話に対して関心を持って聞いてくれるなと感じてもらえれば、その後こちらからした質問にも丁寧に答えてもらえるだろうということです。この法則を踏まえると、いくら本質的な質問を準備していても、相手の話にしっかり関心を示せていなければ、お返しに質問へ答えようという返報性が生まれないので、著者の言うとおり「関心」と「好意」を持たなければ質問のテクニックも活かされないということになります。

仕事で話をしていて、どうも噛み合わない、質問に答えてもらっても腑に落ちない、こちらの意見もイマイチ伝わっていない、という時には、改めて相手への関心と好意が持てているかを自分自身に問いかけてみると良いかもしれません。