【勉強会メモ】DevRel/Online #1 〜初のオンライン開催〜
- 日時:2020/03/11(水) 19:00 〜 22:00
- 場所:オンライン
DevRelとは「Developer Relations」のことで、簡単に言うと開発者向けのマーケティング活動のことのようです。最近、自社のイベントが活発で(コロナ騒動になる前ですが)それに絡む機会が増えてきたというのも参加の理由ですが、何より大阪ではあまり機会の無い種類のイベントということもあって参加しました。諸事情により作業の合間に横目で見る感じでの参加になってしまったのでやや雑なまとめになっています。そういう参加の仕方も可能という意味ではオンラインはありがたいですね。
DevRelの基本とオンラインミートアップの作り方
MOONGIFT 中津川さん
Developer×PR = RevRel
DevRel担当者は開発者の良心
- 関係性を保つ
- 人の声を聞いて開発に活かす
- それぞれケアする
PR=広報+傾聴
なんで開発者?
- マーケティング⇒ドリルを売るな穴を売れ
- 開発者は超かっこいいドリルがほしい
開発者はマーケティングではリーチできない誰かにサービスを提供できるようになる
- 開発者がプラットフォームを魅力的にする
- プラットフォーム上で動くアプリが魅力的だからみんな使う
- DevRelを通じてそういう開発者にソフトを作ってもらう
プラットフォームの可用性を広げる
DevRelの4C
- Code
- Content
- Conductor
- Communication
今日はコミュニケーションの話
なのにコロナ
- 人が病気になったり、なくなったりする
- RevRelCon Tokyoが中止に
- オフラインイベントができない
- ハンズオンがやりづらそう
プラス要素
- オンラインイベントが増える
- 時間、地理的束縛なくイベントに参加
- 満員電車に乗らないでいい
- 会社にいかなくてもいい
- 学校に行かなくてもいい
意外と悪いことばかりじゃない
オンラインミートアップの始め方
基本的な作り方
テーマを決める
- コミュニティ=同じ共通点を持った人間の集まり
- 広すぎず、狭すぎず、車輪の再発明にならず
- 同士を募る
イベントを企画
- コンテンツを決める
- 登壇者あつめ
- ハッシュタグ
- オンラインでは話したくないという人はいる
- オンラインだと1ヶ月前は長すぎる?
集客
- SNSとか
- 既存と変わらない
イベントを実施する
参加者を保持する
- オフラインイベントほど積極的な対話が生み出せない
- Slackへの誘導など、イベント後の対話を生み出す工夫が必要
- イベントは一期一会なので、あらかじめ準備しておく
オンラインならではのTips
Cluster
- VRチャットサービス
- 登壇者視点で見れば、参加者がいるのが分かるのが嬉しい
- 普段感情が出しづらい日本人にしてもエモーショナルになりやすい
Zoom
- 一番安定性、音声品質が高い印象
- 無料で複数人は40分
- 月2000円
YouTube Live
- 100人を超える参加者が集まった場合も加納
- 遅延が長い
- OBSはマシンパワーを使う
- 配信PCは配信専門になるので別途PCが必要
- 配信PCもZoomに入っていると音がハウリングする
参加者を留めておく方法
- Slack,Discode
オンラインイベントを実施する上で私は何を考えどう行動したか
鈴木さん@Microsoft
イベントの開催に関する政府のメッセージ(政府)
カンファレンスの開催状況
イベントキャンセルの判断
- DroidKaigiのスピード感、透明性
- オンラインに切り替え
- 3,000万円の赤字?
決行したイベント、キャンセルしたイベント、それぞれの主催者の判断を尊重してほしい
オンラインイベントという選択肢
- スピーカーやスタッフがスタジオに集まって配信
- 現地でのコミュニケーションが取りやすい
- 全ての関係者が同じオンライン上で参加
- やや難易度は高まる
事例1:MS Open Tech Night
- MS主催
- これまでもオンラインを並行(元々リモート参加のほうが多い)
- Zoom使用
事例2:VS Code Meetup
- 有志のコミュニティ
- 毎回オンライン参加者が多い
- LT募集
- 機材トラブルで40分押し
- 最大視聴者数500名超
事例3:Teams Live/Zoom/YouTube Live
- シンガポールのMSのDevRel担当
オンラインイベントへの不可逆な流れ
オンラインイベントが当たり前になっていく?
- GitHub Japan Meetup Workshop⇒中止
- 韓国では実施した⇒どうやった?確認中
Lift and Shift
- オフラインのイベントを移植
- オンラインファーストの流れ
modernization
- アーカイブ前提
- 親しい距離感
多くのコミュニティがオンライン前提に
- デジタルの非同期コミュニケーション+オンラインイベント
Meetup video shooting Meetup
マニュアルを作ることを目的
Online Demoを通じてスピーカーの注意点をまとめてみる
おだしょーさん@Microsoft
Azure Cosmos DBからMobile App作るデモでしたので割愛。
[LT] オンラインイベントやってみた youtube Live編
kondoyukoさん
- アバター
- リアクション
- チャット
- ファイルアップロード機能に連携する
よかったこと、やりにくいところはnoteへ
[LT] PDUデザインから設計するDevRel
ayatokuraさん
全てが私たちのお客様と考えて行動する
私達のゴール(プラットフォーマー)
開発者をヒーローにする
ルール1:開発者と話をする
- P:デベロッパーの文化やスタイル
- D:ユーザーの文化やスタイル
- U:自分たちの文化やスタイル
ルール2:開発者にとって何が一番良いのかを考えて行動する
- エンゲージメント
- 多くの開発者が最近考えていること
- どの言語をやっておけば良い?
- どうやったら年収をあげられる?
- フルスタックじゃないとだめ?
ルール3:技術情報を提供する
- 技術の未来を信じ、熱量を持って伝える
ルール4:開発者の困ったを一緒に解決する
- 気づき⇒学ぶ⇒チャレンジ⇒採用
ルール5:開発者をヒーローにする
- 現実社会にインパクトを与え評価される
- 海外と日本の開発者文化が異なる
- 時差がある
- 言語の違い
【勉強会メモ】デブサミ再演!クリエーションライン安田氏が語るどん底からのジョイインクジャーニー7年記
- 日時:2020/03/06(金) 19:30 〜 21:00
- 場所:オンライン
オンラインで再演されるとのことでデブサミ不参加なので参加しました。コロナ騒動になってから初めてオンラインの勉強会に参加しましたが、オフラインとは違った雰囲気で発表する側は特に慣れが必要そうでした。視聴している側は普段の勢いで終わった後に普通に拍手しそうになりましたが。
ジョイインクは言わずもがなかと思いますが、社員の喜びを第一とする企業文化を作ってきた米国のメンローイノベーションズ社の取り組みについて同社CEOのリチャード・シェリダン氏が書いた書籍です。自立的な組織という点でアジャイル開発のプラクティスを多数取り入れているため、アジャイル開発の事例としても広まっている本です。
- 作者:リチャード・シェリダン
- 発売日: 2016/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
今回の発表は、日本でこのジョイインクのような会社をつくりたいという素晴らしい思いを持って取り組んでこられた、クリエーションライン安田氏の7年間の取り組みが紹介されました。経営者の立場からの発表ですが、現場の立場で参考にできる部分もたくさんありますし、こうした事例があるということを活用して周囲を巻き込んで良いチームや組織の文化をつくっていくこともできると思います。
私個人の感想としては、いろんなかたちのジョイインクを生み出せると良いなと思いました。Joy,Incではサブタイトルにもある通り、ヒエラルキーのない組織に注目されがちですが、現実的には大小あれどヒエラルキーがある組織のほうが大多数です。ではそのような企業から社員の喜びを第一とする文化は生まれないのか?と言うとそんなことはないと思いたいです。
今回のクリエーションライン社の発表も、メンロー社の事例のコピーではなく自社に合わせた形を模索したうえで取り入れており、ヒエラルキーをなくすことを目的としているわけではなく、あくまで社員の喜びとは何か?に向き合って形をつくってきた結果であると思いました。なので、ヒエラルキー型組織の一員である私も良い部分は参考にして、自分の会社が別の形のジョイインクになればいいなと思いました。
余談ですが、私の会社の場合は「喜び」ではなく「楽」が理念に含まれているので、JoyではなくEnjoyであり、いろんなかたちのジョイインクが生まれるような製品を開発できるようになることもミッションに含まれるかもしれないと思いました。
日本にJoy,Incを創る! ぼくらのジョイインクジャーニー 3年間の軌跡
デブサミの資料はすでに公開されています。
www.slideshare.net
2013年:どん底期
社員30人ぐらい
- 悪いことがどんどん起こる
- 負のスパイラル
- 色々悩んだ
なぜ会社をやっているのか?もう1回リスタートしよう
- 原因は自分自身だと気づいた
- だめなリーダー、だめな経営者
- 目先の売上、利益しか考えていなかった
- ビジョンや理念もなかった
- メンバーはどういう方向に向かっていけばいいか分かっていなかった
2017年にJoy, Incに出会うまで
2014年:TGIF(社内懇親会)
- メンバー間の交流、チームのコラボ
- 参加者が固定化、マンネリ化
- その後ひっそりと終了
何かやるときは目的を明確化
- それが伝わるまで伝える
2015年:全体会議
- 月曜10-11時
- 悪いところを見つけて改善しようとする
月曜の朝からつらい
- 人生をより良くするためには?
- 仕事をより楽しくするには?
少しでも良くなるようにと思ったが
- だれも反応しない
続けていくうちに何人かがフォロワーがでてきた
くじけず続ける
2016年:ヴァル研究所さんへ見学
- リーダーとか何人かを連れて行った
- これ以降、付箋を使ったり振り返りをするようになった
巻き込み方が大事
2017年:「強いチームの作り方」ワークショップ
- アトラクタ、原田さん吉羽さん
- この後、社内の有志で改善チームが立ち上がった
大事なことにはちゃんと投資する
- ワークショップの投資だけでなくメンバーの稼働も含めて
- そういう場がないと成長につながらない
- 外部からの支援があることで成長につながる
Joy, Inc.登場
自分たちと違いすぎて遠い世界の物語のように感じた
日本に来て公演→RSGT2018参加
- こんなに嬉しそうに語りたい
- 明けの全体会議を変えた
- 大幅に変更する
- もっと楽しく仕事する
- お互いを知るためにリレートーク
実践していること
- Weekly朝会
- ふるふるリレートーク
- ふるふるするほど褒める
- 日本人の気質もあるがあまり面と向かって褒めない
- あえて褒めるのはいい機会
- 雑談
- チームワークレベル1~3をカバー
- 業務として雑談をする
- エンゲージメント上がった
- 財務情報フルオープン
- 議事録なども全て
- あらゆる情報を公開している
- 主体的に動くためには情報がないと判断できない
- CLキッズ(会社に子供が日常的に来れる)
- 学校帰りに会社に来る
- Family Day
クリエーションラインでやっていることまとめ
- ヒエラルキーがない組織
- ペアワーク
- あらゆる情報の可視化
- Weekly朝会
- CLキッズ
許可を求めるな謝罪せよ(失敗してもいいから素早く実行する)
未来編
日本の色々な会社にJoy,Incの文化、働き方を広める
会社の文化グラフを会社の業績を重ねたら同じだった
- 会社の文化がよくなる
- 良い成果が生まれる
- 会社の業績がよくなる
良い成果
- 労働残業時間6.95時間/月
- 教育・新技術への取り組みは全体の30%
Menlo Innovationsへ訪問
- スキルレベルの可視化
- 誰と誰がペアでどのプロジェクトの仕事をしているかが可視化
- プロジェクトの状況の可視化
- ビジョンの可視化
素晴らしい文化は特別なものではない、普通のもの
【読書メモ】管理しない会社がうまくいくワケ
自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇 管理しない会社がうまくいくワケ
- 作者:アービンジャー・インスティチュート
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』のビジネス編です。管理型マネジメントの限界を指摘し、自立型組織を目指すための価値と組織の一人ひとりが持つべきマインドセットについて書かれています。今回は「箱」という表現をあまり使っておらず説明もあまり出てこないので、深く理解したいなら前著と一緒に読むほうがお勧めです。前著の読書メモは下記参照。
とはいえ、「箱」という表現は本書では「内向き思考」として説明されているので前著を読まなくても内容は十分理解できます。
外向き思考(アウトワード・マインドセット)
本書の最も重要なテーマが「外向き思考」です。マインドセットを外向き思考に変えることで大きな変化が生まれると述べています。ポイントは「ものの見方」「他者との関係性」「他者に対する責任のとり方」の3つを根本的に変化させることです。
「物」が「人」 に変わるとき、イノベーションが起こる
自分だけに焦点を合わせて行動するとき、人は周囲のすべてを「物」として見ています。これが「内向き思考」です。このマインドセットを、周囲の人たちの「ニーズや目的に関心をもつ」ように変え、そのニーズや目的のために役立つように行動を変えていくのが「外向き思考」です。書籍の中では、内向き思考で行き詰まった企業やNBAのチームが外向き思考に変わることで大きな成果を達成した事例がいくつか紹介されています。
外向き思考の3つのパターン
外向き思考に変わるために、次の3つのパターンが紹介されています。
- 相手のニーズ、目的、課題にしっかり目を向ける
- 人の役に立つように適切に努力する
- 自分の仕事が相手に与えた結果を理解し、それについて責任を負う
人がなかなか外向き思考になれない理由は「自分自身」にあります。「他者を理解すること」から目を背けることは、その人の人生を悩ましいものにする最大の要因となり、個人的にも社会的にも大きな代償を払うことになると述べています。自立型組織とは一人ひとりが3つのパターンで行動するマインドセットを持っている組織と言えます。
マネジメントの役割
ここで、かの有名なドラッカーのマネジメントを振り返ってみると、マネジメントは以下の3つの役割があると述べられています。
- 自らの組織に特有の使命を果たす
- 仕事を通じて働く人たちを生かす
- 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する
改めてこの3つの役割の意味を考えてみると、(特に2つ目と3つ目では)マネジメントの役割としても外向き思考が求められていることを読み取ることができます。
また、弊社のマネジメント層が持つべきマインドセットとして定義されている リーダーシッププリンシプル を改めて読んでみても「外向き思考」の要素が随所に込められているのがわかります。
つまり、マネジメント視点で読み解くと「外向き思考」はマネジメントスタイルに関係なく必要なマインドセットだと言えます。
自立型組織のマネジメントとは
では、管理型マネジメントと自立型組織のマネジメントの違いは何か?について考えてみます。本書では従来の管理型マネジメントは行動を管理するものと捉えていますが、それだけでなく一人ひとりのマインドセットにも目を向けて組織的にアプローチすることで大きな成果が得られると述べられています。
マインドセットを変えようとした組織は、行動の変化だけにアプローチした組織よりも4倍も成功する率が高い
まずは組織のリーダーがマネジメントの役割の一部である「外向き思考」をしっかり行動で示し、組織の一人ひとりが同じマインドセットを持って行動できるように支援していくことが自立型組織のマネジメントと言えます。そう考えるとコーチングや1on1も外向き思考の支援活動の1つであり、 0秒リーダーシップ や スタンフォード式最高のリーダーシップ は外向き思考を含む行動スタイルであるように思えます。
まとめると、本書のタイトルにある「管理しない会社」の意味するものは「自立型組織に変えていくこと」であると想像できますが、さらに紐解いてタイトルを言い換えるなら「行動を管理しないでマインドセットの変化を支援する会社がうまくいく」ということだと言えるでしょう。
【読書メモ】ロジカル・ライティング
本書はロジカル・シンキングを意識してロジカルな文章作成を行うための手法をまとめたものです。ロジカル・シンキングを意識するとはどういうことかというと、ロジカル・シンキングの基本であるMECEとSo What?/Why So?を使い、ピラミッド構造で論理をまとめることです。著者によるロジカル・シンキングの本もあるので、これらの基本要素はそちらに詳しく書いてあるものと思われます(未読のため想像)。
ベースはMECEとSo What?/Why So?
あまり深く解説する必要はないと思いますが、ロジカル・シンキングの基本は次の2つの要素です。
以下のように探せば参考サイトがたくさんみつかります。
論理をピラミッド構造でまとめる
MECEとSo What?/Why So?をどう使うかというと、ピラミッド構造になるように論理をまとめます。
論理とは、問いへの答えを構成する結論と複数の根拠を、縦と横の2つの法則性で構造化したものであり、3つの要件を満たす。
So What?/Why So?の流れでだから何で、なぜそうなのかを説明し、説明の根拠がMECEの関係になるように漏れなくダブりなく根拠を示します。
前述と同じ参考サイトによる解説
テーマを問いに置き換える
順序が逆転しましたが、ピラミッド構造でまとめるためには、まず書こうとしているテーマを「問い」に置き換えます。例えばロジカル・ライティングがテーマであれば、ロジカル・ライティングとはどういう書き方で、どういうスキルで構成されているのか?という問いに答えます。
まず、自分が書きたいこと、書けることを書くのではなく、「『問い』に答えること」が必要
これが前述の要件1の部分です。この要件1を満たしたうえでロジカル・シンキングのテクニックで論理を整理していきます。
コミュニケーションの設定
テーマの部分についてはコミュニケーションの設定の4つの要素が重要だと述べられています。
- テーマ
- 期待する反応
- 読み手
- 書き手
これらは文章を書くための根本的な要素であり、以下のように根っこのようなものだと述べています。
「何について、何のために、誰が、誰に向けて書くのか」という、文書作成の根っこのようなもの
つまり、読み手の求めること、期待していることをしっかり理解しておくということです。コミュニケーションの設定が適切でなければ、いくら論理をきれいにまとめても読み手には伝わりません。同様のことは他の文章術の本でも様々な表現で述べられており、文章を書くということが読み手を意識したコミュニケーションの手法だということが理解できます。
【読書メモ】0秒リーダーシップ
0秒リーダーシップ:「これからの世界」で圧倒的な成果を上げる仕事術
- 作者:ピョートル・フェリークス・グジバチ
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2016/07/22
- メディア: 単行本
誰もが持つべきリーダーシップ
本書ではリーダーシップは誰もが持つべきスキルであるとし、誰もがリーダーシップを発揮できるようになるための考え方、行動のしかたが述べられています。リーダーシップといえば、昨年発売されて話題になった『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』が最近では有名ですが、本書も書いてあることは基本的に同じだと感じました。違う点は、スタンフォード式〜のほうは役割としてのリーダーに向けて書かれているのに対して、本書のほうはリーダーの役割ではない人も含めた全ての人に向けて書かれています。リーダーシップの開発には時間がかかるとも言われており(参照:『 会社を強くする人材育成戦略 』、リーダーシップを理解して普段から習慣化することは仕事で成果を上げるためにも、将来リーダーの役割になった時のためにも役立つスキルであると思います。
スタンフォード式〜のほうは過去のエントリー参照。
リーダーシップは「影響力の行使」
リーダーシップを別の言葉に置き換えると「影響力の行使」と述べられています。
自分の行動の結果、どんな影響が出るかをあらかじめ予測して、その行動をとるべきかとらざるべきかを選択して行使するのがリーダーシップです
これは役割としてのリーダーにはもちろん必要なマインドですが、組織の誰もがこのマインドを持って行動すれば組織のパフォーマンスは何倍も加速するでしょう。まさに自立化された組織と言えます。
リーダーシップ3つの基本
リーダーシップ=成果につながる影響力を行使できる人は、どのような人なのか?について3つの基本をあげています。
- 優しさ
- 厳しさ
- 茶目っ気
まず「優しさ」で周囲との信頼関係を築き、「厳しさ」で正しいことを躊躇せず実行する空気を生み出します。そして、難しい問題に直面した時でもポジティブに多角的視点で問題に向き合うために、「茶目っ気」を持っているということです。確かにマンガに出てくるようなヒーローをイメージしてみても、優しさと厳しさを兼ね備え、時にお茶目な一面を見せるリーダーが思い浮かびます。
空気を読んで、空気を壊す
著者はまた、リーダーシップは「空気を読んで、空気を壊す」という一連のアクションであるとも述べています。これは前述の「影響力の行使」の説明の言い換えでもあります。この「空気」という言葉には、チームの方針やメンバーの価値観、世の中の動向、自分が周囲にどう思われているかの自己理解など、様々な意味が含まれていると思います。簡単な言葉ですが奥の深い内容です。この様々な意味が含まれた奥深さを著者は次に紹介する9つのポイントにまとめています。
0秒リーダーシップの9つのポイント
本書では9つのポイントがそれぞれ章ごとに説明されています。概要だけ紹介しておきます。
- イノベーティブシンキング
- 破壊的イノベーションを生み出すクリエイティビティ、T型スキル
- プロトタイプシンキング
- Fail fast(小さく上手に失敗する)
- デジタルリーダーシップ
- ラーニングアジリティ
- 常に学び、素早く行動に移す
- コミュニティリーダーシップ
- ダイバーシティが高い組織、2つの専門分野を持つ「π型」人材
- コンプレクシティリーダーシップ
- すぐに解決できない厄介な問題にも向き合う
- エモーショナルインテリジェンスリーダーシップ
- レジリエンス=折れない心、立ち直る力
- マインドフルリーダーシップ
- マインドフルネス(瞑想)を取り入れる
- リーダーシッププレゼンス
- リーダーにふさわしい存在感、影響力
Learn, Relearn,Unlearn
あとがきで著者は「学ぶことが大事」と説明しています。ここで紹介されている3つのワードが個人的にとても気に入っています。
- Learn=知識を増やす
- Relearn=学び直す
- Unlearn=完全に時代遅れになった考え方、価値観や信念は手放す
参考
- 本書の解説記事
- 著者の記事がいくつかあります
- 著者のインタビュー記事