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【読書メモ】世界のエリートがやっている 最高の休息法

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

2019年のマイブームの1つがマインドフルネスでした。マインドフルネスに関しては既にいくつか本を読んである程度の知識をつけて実践もしているのですが、自分の熱感が高いうちにまとめて本を読んでおくのは知識を体系化して定着させるために重要だと思っていて、その流れで読んだ本です(何となく来年になると読まなくなる気がして)。

本書は大学研究員の主人公が脳科学の教授からマインドフルネスを教わるという物語形式でマインドフルネスのやり方と背後にある科学的根拠や研究内容が紹介されています。今回は物語の中で語られているマインドフルネスを「最高の休息法」としている理由と、7つの実践方法についてまとめておきます。

脳の休息

そもそもなぜマインドフルネスのような休息法が必要なのか?について、物語の中で教授が次のように語っています。

組織であろうと個人であろうと、それが成長していくためには努力や頑張りだけではダメなんじゃ。薪木を燃やし続けるためには、薪木のあいだの「空間」が欠かせん。それこそが休息なんじゃとわしは考えとる。そして、ビジネスにはビジネスの方法論があるのと同じように、休息には休息の方法論がある。

脳の疲労の原因となるDMN

DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)は脳の働きの1つで、「意識的な活動をしていないときに働く脳のベースライン活動」と述べられています。もともと、脳は人間の身体全体が消費するエネルギーの中でも消費量が多い機能であり、その中でも多くのエネルギーを消費する脳の活動がこのDMNのようです。

  • 何もせずぼんやりとしているときにも働く
  • 脳は身体が消費する全エネルギーの20%を使う
  • 60〜80%がDMNという脳回路に使われる

詳しくは以下のサイトで著者が解説しています。

diamond.jp

心の「自動操縦状態」

日常生活の中で何気なくやっている作業では、意識は過去や未来にいるとし、これを「自動操縦状態」と表現しています。会社に行く前の準備をしながら、何となく過去の失敗を思い出したり、起きていない未来のことに不安を巡らしたりということは誰しもあるのではないでしょうか。何となく今と関係のないことを考えてDMNを消費し、脳が疲労することで同時に心も身体も疲弊していくというわけです。

  • 目の前のことを何気なくこなしているとき、心はいまと関係ないところにある
  • 自動操縦を脱して心のふらつきを減らすには日常的な行為に注意を向けていまを取り戻すことが有効

マインドフルネスは今の状態に意識を集中させることでこの自動操縦状態を脱出する方法です。

レイジー・デーでモンキーマインドを抑える

モンキーマインドとは「サルたちが頭の中でうるさく騒ぎまくっているような状態」です。仕事が忙しいとか、受験勉強とか、家族の問題とか、人生の難しい問題を抱えた時にこういうことは誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。マインドフルネスは、こういう問題にうまく対処するのにも役立ちます。

このような雑念が多い状態での良い休息の手法として「レイジー・デー」が紹介されています。1日中何もせず「 怠ける日」のことです。物語の中では勤め先のルールとして以下のようなレイジー・デーを導入しています。

  • 月1日の特別有給休暇をルール化し、自分のケアに集中
  • 何もスケジュールを入れず、各自が歩行瞑想や軽い読書をしたり、家族へ手紙を書いたりする

休暇取得が奨励されている昨今で、「休みを取っても何をやっていいか分からない」という声もあったりしますが、自主的にレイジー・デーを取ってみるのも良いかもしれません。

これらも著者自身の記事で紹介されています。

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脳の疲労を解消する7つの実践方法

具体的な手法は本をしっかり読んで実践するのが良いと思いますが、代表的な7つの実践方法について概要をまとめておきます。

マインドフルネス呼吸法

最も基本となる瞑想方法です。落ち着いた状態で自分の呼吸に注意を向けて雑念を払います。1日5分でも良いので同じ時間に同じ場所で毎日やるのが良いとされています。

ムーブメント瞑想

自動操縦状態での雑念を払う瞑想方法です。歩いている時に脚の動きに注目したり地面に接する感覚に注目するなどの「歩行瞑想」が代表的で、物語中にも何度か出てきます。

ブリージング・スペース

不安やストレスを抱えている時にそれを受け止めて客観視する瞑想方法です。ストレスを感じているときの呼吸や胃痛などの身体の変化に気づき、変化に注目します。

モンキーマインド解消法

モンキーマインドの雑念を取り払う瞑想方法です。認知療法的に雑念に対する解釈のしかたを変えたり、視点をずらすなどのアプローチを取ります。

RAIN

怒りなどの感情的な衝動に対処する瞑想方法です。RAINは次の頭文字です。

  • Recognize(認識する)
  • Accept(受け入れる)
  • Investigate(検証する)
  • Non-Identification(距離をとる)

メッタ

愛情、慈しみなどの感情を引き出してポジティブな感情を育てる瞑想方法です。ポジティブな感情を育てることでマイナス感情も抑えることができます。

ボディスキャン

身体の疲れや痛みを抑制する瞑想方法です。足のつま先から順番に身体に注意を向けて全身をスキャンします。

参考

本書の内容をもとにした著者自身による連載記事をあわせて読むと理解が深まります。

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