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【読書メモ】スタンフォード大学 マインドフルネス教室

スタンフォード大学 マインドフルネス教室

スタンフォード大学 マインドフルネス教室

個人的に2019年の流行テーマとなった「マインドフルネス」の総括として年末に読んだ本ですが、この本はマインドフルネスのやり方や実践事例について詳しく書いてある書籍とは少し違った内容でした。「マインドフルネス」というよりは「マインドフル」に関する本で、2019年に発売されて話題になった同じ著者の『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』のベースとなる知識や考え方を深く掘り下げた本です。

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

マインドフルな生き方

マインドフルネスという言葉の日本語的意味について筆者は次のように述べています。

マインドフルネスをもっともよく表す漢字は「念」であり、これは「今」と「心」のふたつの部分からきている。しかし、日本語で「心」が気持ち、強い感情、意識や思考、魂など、その人全体を指すのにたいし、西洋でマインドフルネスはといえば、ハートから切り離された知性や思考といったイメージを持つ人がいる。それを考えると、ハートフルネスという表現のほうが、「念」に近いだろう。

つまり、語感だけ捉えるとマインドフルネスは心と思考が切り離されているように捉えられそうだが、筆者の考えでは心も思考も今ここにあり、そこから新しい生き方を模索するのがマインドフルな生き方ということです。

マインドフル・リーダーシップ

マインドフルな生き方をベースとしたリーダーシップについて次のように述べています。これは『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』でも述べられているこれからのリーダーシップの考え方のベースでもあります。

マインドフルなリーダーとは、自らの思考や行動を意識することができ、自分の影響下にある人々の潜在力を存分に発揮させられる人のことである。心の内側の、深い落ち着きと集中を備えた場所から生まれてくるこのリーダーシップを身につけたなら、いかなる事態が生じた際にも、そのたびに対応していく力を持つことができる。

8つのポイント

本書ではマインドフルであることのポイントが8つの章にわけて述べられています。

念(Mindfulness)

冒頭に書いたとおり心を今の状態に向けることがマインドフルネスの基本です。

初心(Beginner 's Mind)

「初心忘るべからず」という諺にあるように、学び始めた時の気持ちを忘れず常に謙虚であれということです。

kotowaza-allguide.com

ここでは「ヴァルネラビリティ」という言葉も引用されています。「ヴァルネラビリティ」とは弱みのことですが、謙虚であるために自分の弱さを受け入れて認めることが重要であると述べられています。

本当の自分(Authenticity)

「自分らしくある」ということでもありますが、ここでは「自分は何者なのか?」という深い問いについても述べられています。

絆(Connectedness)

「人とのつながり」の大切さについてです。ここでは他者への「共感」や「敬意」という視点で述べられています。

聴く力(The Heart of Listening)

他者理解の視点で「傾聴」について述べられています。コーチングなどでもよく出てくる「アクティブ・リスニング」についても触れられています。聴くというのは相手の言葉に耳を傾けることであり、話すのではなく「沈黙」が重要であると述べられています。

受容(Acceptance)

ありのままを受け入れる。日本語の「仕方がない」という言葉はどうしようもないと考えて諦めるというネガティブな意味で使われますが、病気などの受け入れざるをえない境遇ではそれを受け入れることも大切で、マインドフルな生き方に繋がると述べられています。

感謝(Gratitude)

他人へ感謝することは他者理解にも繋がるという視点で述べられています。そのうえでポジティブな思考に向かう感謝の気持ちは、科学的にも心理面に良い影響を及ぼすことがわかってきているようです。

義理、人情、責任(Responsibility)

ここでの「義理、人情、責任」は前述の「自分は何者なのか?」という問いに繋がる、より深い意味も込められています。自分らしく生きるというのは自分の都合で好きなように生きるという意味ではありません。ありのままを受け入れて周囲の人とのつながりを深め、自分らしくあるというマインドフルな生き方は「義理、人情、責任」も伴うということです。マインドフルにそれを追求することが求められます。

参考

business.nikkei.com

著者が行っているグループワークを紹介した記事です。「あなたは何者なのか?」という問いについて語られており、本書の理解を深めることができます。

gendai.ismedia.jp

著者自身による解説記事で、特に「学び」という視点で書籍から文章が多く引用されています。

nomind-nolife.com

著者のワークショップの解説記事です。書籍にも出てくるキーワードが引用され、マインドフルとはどういうことか?についてまとめられています。